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iDeCo4月の新規加入者は4.4万人と加入意欲旺盛、「資産所得倍増プラン」に期待

2022/06/01 15:44

国民年金基金連合会が6月1日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると、4月の新規加入者数は4万4374人で加入者総数は242万4,294人になった。新規加入者数は前年同月と比較すると8.7%減になるが、一昨年4月と比較すると約38%増であり、引き続き旺盛な加入意欲が感じられる。5月31日にまとめられた岸田内閣の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」では、つみたてNISAと並んでiDeCoの制度拡充の方針が盛り込まれた。投資を促す新政策がiDeCoの加入意欲を刺激するかどうか、今後の加入者動向を確認していきたい。なお、従業員のiDeCoに企業が上乗せ拠出をするiDeCo+(中小事業主掛金納付制度)は、実施事業所数は4343事業所、対象従業員数は2万7,577人になった。

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出所:モーニングスター作成

 4月の新規加入者の内訳は、第1号加入者は5,848人(前月6,094人)、第2号加入者は3万6,012人(前月3万9,587人)、第3号加入者は2514人(前月2,779人)となり、全体的に前月を下回る加入者になった。なお、第2号加入者の中では、企業年金なしの新規加入者が2万2,277人(前月2万3,590人)。共済組合員(公務員)の新規加入者は8,115人(前月9,659人)となった。

 「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」に盛り込まれたiDeCoに関する制度強化は、「貯蓄から投資のための『資産所得倍増プラン』の策定」という重点策の中で、「個人金融資産を全世代的に貯蓄から投資にシフトさせるべく、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的な改革を検討する。また、現預金の過半を保有している高齢者に向けて、就業機会確保の努力義務が70歳まで伸びていることに留意し、iDeCo(個人型確定拠出年金)制度の改革やその子供世代が資産形成を行いやすい環境整備等について検討する」と記されている。「本年末に総合的な『資産所得倍増プラン』を策定する」と明記されているだけに、今後、具体的な制度改革に関する議論が行われることになるだろう。

 ただ、この制度改革に関して、新聞報道等では「iDeCoに65歳以降も加入可能に」という見出しで報じていたが、加入可能年齢が伸びることに、さほど大きな意味はないと感じられる。iDeCo制度改革に触れるにあたって「就業機会確保の努力義務が70歳まで伸びていることに留意し」という文言が置かれているため、「70歳まで就労する人が増えているのであれば、iDeCoの加入も70歳まで延長すべき」という文脈で改革が捉えられたのかもしれない。しかし、就労機会が70歳まで延長したとしても、60歳を機に働き方は変化し、就労時間が短縮されるとともに収入が落ちるのが一般的だ。まして、65歳以降になれば一段と就労時間は短縮されるだろうから、その少なくなった収入を削ってまでiDeCoで老後資金を積み増すことに、どれほどの意味があるのだろう?

 むしろ、iDeCoの意義は、若い頃から積立投資を実施し、老齢期に達した60歳前後で積み上げた資産を活用した豊かな老後生活を実現することにある。アーリーリタイヤを実現する手段としてこそ、iDeCoは活用されるべきだ。就労している時代に、いかに資産を積み増すことを促すかという制度改正こそ望まれるのであって、65歳以降はiDeCoにわざわざ加入する必要がないほど大きな資産が積み上がっているようにしたい。その点を踏まえれば、改革は加入限度額の引き上げや、資産運用に関する理解を深めるための投資教育の充実などが優先されるべきだろう。

 実際に、岸田内閣の「資産所得倍増プラン」や自民党が唱える「1億総株主」などについて、ツイッターなどのSNSの反応をみると、「投資するためのお金を先に配れ」とか、「投資で1億総玉砕」など、「投資はお金がかかる」「投資は危険」という思い込みに縛られた投稿であふれた。しかし、つみたてNISAやiDeCoは、月々数千円から、せいぜい3万円の積立投資を実行するだけだ。たとえ数千円の資金でも投資信託を通じて株式に投資すれば、単位株(主に100株)には届かなくても、間違いなく株主となり、持ち分に応じて配当等のリターンを得ることができるようになる。615万円を投資してユニクロ(ファーストリテイリング)の株主になることを勧めようというのではないのだ。

 SNSの反応には、日本で「貯蓄から投資へ」の転換が進まない現実が見えた。これを転換するには、金融に関するリテラシーの向上を図るより他はない。つみたてNISAやiDeCoのように、数百万人の人が利用する制度だからこそ、国民的な金融リテラシーを高める金融教育を提供するプラットフォームとして機能する。年末に出てくる総合的な「資産所得倍増プラン」では、就労時の制度利用を促し、より豊かな活用が可能になるような制度改革を望みたい。 

    
    

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