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DC専用ファンド(2021年9月)、「ターゲットイヤー型」にジワリ資金流入拡大、指定運用方法の影響か

2021/10/08 14:31

 DC専用ファンドの2021年9月の純資金流出入額は約338億円の流入超過になった。資金流入超過は2020年12月以降10カ月連続になった。21年1月から資金流入トップを続けている「先進国株式」は、流入額が約124億円となった。6月の406億円の資金流入額と比較すると、流入金額の水準は低下したものの、依然として多くの資金が向かっている。次に流入額が多い「バランス」は約117億円の資金流入となり、先進国株式と同等の資金流入額になっている。直近ピークになった6月の資金流入額は約230億円で先進国株式の半分程度だったことから考えると、相対的にバランスへの流入額が増大していることがわかる。また、バランス型の中で「ターゲットイヤー」が56億円と、かつてない大きな資金流入となった。なお、「国内株式」と「REIT(不動産投信)」は、それぞれ3億円程度とわずかながら資金流出に転じた。(DCは、確定拠出年金の略称)

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※ 9月の資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成


 DC専用ファンド全体の純資産総額は約8兆3,322億円と前月から約525億円増加し、2020年11月以降11カ月連続で純資産総額は史上最高を更新し続けている。資産配分状況は、株式ファンド47%、債券ファンド18%、バランスファンド34%という割合だった。株式ファンドが前月に続いて比率を1%引き上げ、2015年1月以来で最高の比率になった。(※個別のDC規約では、DC専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、DC専用ファンド全体の純資産総額は、国内DC制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない)
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出所:モーニングスター作成


■資金流入額トップ10の第2位に「三菱UFJターゲット・イヤーファンド2030」

 DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキングは、第1位はニッセイアセットマネジメントの「DCニッセイ外国株式インデックス」。9月も先進国株式インデックスファンドへの資金流入が集中し、資金流入額トップ10のうち7銘柄が先進国株式インデックスである「MSCIコクサイ」に連動するインデックスファンドになった。

 また、第8位に「One DC国内株式インデックスファンド」(アセットマネジメントOne)、第10位に「DCニッセイ 国内株式インデックス」(ニッセイアセット)と国内株式インデックスファンドが入ってきた。過去1年間のトータルリターンでは、先進国株式インデックスが35%台であることと比較すると、国内インデックスファンドは27%台と見劣りしてしまうが、先進国株式には米国株式などには株高が行き過ぎて割高になっているという指摘もあり、出遅れている国内株式への投資ニーズも高まっていることがうかがえる。

 一方、第2位に「三菱UFJターゲット・イヤーファンド2030(DC)(愛称:あすへのそなえ)」(三菱UFJ国際投信)がランクインした。ターゲット・イヤーファンドは、運用のゴールとなる年に合わせて、株式やREITなどリスク資産の比率を引き下げて、ゴールの地点ではほぼ現金に近い安定運用のポートフォリオになるように、一定のルールで資産の運用内容を自動的に変更していくタイプの運用商品。ゴール地点で、リスク商品をゼロにしてしまうタイプと、ゴール地点を迎えても5%~15%くらいの比率でリスク資産を保有しているタイプのものがある。「三菱UFJターゲット・イヤーファンド」はゴールに達した時にも、株式等のリスク資産が低い水準ながら残るタイプだ。

 米国では企業型DCの運用商品としては、一般的に利用されているDC運用の定番商品といえる存在だが、これまでは日本での利用は少なかった。今回のランキングで月間の資金流入額(推計値)が約22億円と比較的まとまった額の資金流入があったのは、同ファンドが新規に「指定運用方法(デフォルト商品)」に採用されるなど、制度運営上の変更があったものと考えられる。

 DC制度は、加入者が運用方法を自らの責任で選んで、年金資金を運用する制度だが、一定の割合で自ら選んで運用することを実施しない加入者が存在する。従来は、そのような場合は、定期預金などの元本確保型商品に資金をプールするような対応になっていた。それが、2016年の制度改定で「指定運用方法」が定められ、加入者が運用商品を選ばなかった場合に、規約で定める商品(=指定運用方法)で運用することになった。この制度改正によって2018年5月1日から指定運用方法が導入された。指定運用方法の採用は任意だが、企業型DCでは規約の改定などの作業が進み、ここ1年くらいの間に、制度の中に指定運用方法を取り入れる企業が増えてきている。

 この指定運用方法には、依然として元本確保型商品を指定するケースもあるが、DC法では指定運用方法について「長期的な観点から、物価その他の経済事情の変動により生ずる損失に備え、収益の確保を図るためのもの」と定めていることから、ゼロ%金利の元本確保型商品では物価変動によって損失を生じてしまうとして、リスク抑制型のバランス型ファンドやターゲット・イヤーファンドを選ぶケースが増えつつある。今回の資金流入額ランキングに「三菱UFJターゲット・イヤーファンド2030(DC)」が入ってきたことの背景と考えられる。

DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキング

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※ 9月の資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成


■リターントップは2カ月連続で「ベイリー・ギフォードESG世界株F」

 個別ファンドの過去1年間のトータルリターンランキングのトップは、前月に続いて三菱UFJ国際投信のベイリー・ギフォードESG世界株F」だった。第2位も同じく前月に続いて、「三菱UFJ DC厳選日本成長株オープン」(三菱UFJ国際)だった。新たに、グローバル株式のアクティブファンドである「UBS DC海外株式ファンド」(UBSアセット・マネジメント)が第4位に食い込んだ。

 また、今月はグローバルREITインデックスファンドが43%程度のトータルリターンをあげてランキングの第6位から第10位を占めた。

DC専用ファンドのトータルリターン(1年)ランキング

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※ 9月の資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成


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