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企業型DCの優れた運営会社(NEC、システムアドバンス、TIS)を表彰、一段と重要性を増す継続投資教育

2020/11/09 18:01

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エクセレントカンパニーの表彰式で、受賞企業の代表者
 企業型確定拠出年金(DC)について、優れた取り組みを表彰する「エクセレントカンパニー表彰」の表彰式が11月6日に開催された第9回日本DCフォーラム(主催:NPO法人 確定拠出年金教育協会)で実施された。今年度の表彰企業は、制度運営(ガバナンス)部門で日本電気(NEC)、継続投資教育部門でシステムアドバンスとTISが選ばれた。いずれも、企業年金についてはDCに一本化して継続投資教育などで効果的な取り組みを実施している企業が選ばれたが、近年、「DB(確定給付企業年金)からDCへ」の流れが加速していることを改めて感じさせられた。

◆DC100%の企業年金だからこそ、継続投資教育を強化

 NECは2020年10月に退職金・年金制度を改正し、それまでは、DB年金制度(全体の60%)を主体に、DC年金または前払い退職金(20%)、退職一時金(20%)という制度だったものを、DC年金または前払い退職金(80%)と退職一時金(20%)という制度に移行した。企業年金としてはDC制度一本になり、この制度移行を見据えて、「社員が信頼できるDC年金運営体制の確立」と「継続的な教育機会提供による社員のマネープラン理解や資産運用リテラシーの底上げ」を目的として「NECグループDC年金委員会(DC委員会)」を設置し、グループの労使幹部が運営管理機関(三井住友信託銀行)等をモニタリングして、社員利益のためにDC年金制度が運用されていることを検証している。DC委員会は2019年1月に発足し、その後、毎年7月に定例開催している。

 システムアドバンスは、全社員(単体100名)が参加する社員旅行の場を活かして継続教育を毎年実施。座学で一方的に講義を聞く方法ではなく、グループワークを通じてDCや投資について主体的にかかわることを促す工夫をしている。2008年7月に、適格年金100%だった制度をDCに移行してから、「DCアレルギー」の緩和、「わからないからやらない」という負の連鎖の停止、会社は従業員の老後資産形成のサポーターなどの考え方のもと、強制ではなく楽しく参加できるセミナーを開催してきた。この効果として、30代、40代の社員の間では元本確保型商品に偏っていた運用商品が、投資信託などに分散投資することが主流となり、また、退職時期を意識するようになる50代では、受け取りを意識した安定運用への切り替えが進むようになった。

 TISは2005年1月にDC制度を導入し、退職給付制度がDC100%という制度であるため、「投資教育への継続的な取り組みは人事部の社員に対するコミットメントである」という基本方針を策定し、これを社内にも公開。全員履修のテスト付きeラーニングと任意参加のセミナー、そして、FPの個別相談を組み合わせて実施している。継続教育は2013年度からeラーニング主体に開始、2015年度に全社教育体系に取り組み、2017年度にマッチング拠出を導入することに合わせて、eラーニングとセミナーを組み合わせた現在の教育体制に移行した。2017年度以来、加入者WEBの利用率は30%から60%弱に上昇、また、マッチング拠出加入状況も10%強から20%へと毎年徐々に増加している。

◆DC掛金の上限月額5.5万円の柔軟な活用法を模索

 第9回日本DCフォーラムは、厚生労働省の年金局企業年金・個人年金課長の吉田一生氏が「2020年DC法改正のポイントと積み残った課題」をテーマに基調講演を行った。吉田氏は、2020年の制度改正について、「企業型DC加入者の個人型DC(iDeCo)加入の要件緩和(2022年10月施行)が未来のDC制度を考える上では重要な改正事項」と語った。現在は、企業型DCでiDeCoへの加入を認める規約の定めがあり、かつ、事業主掛金の上限を5.5万円から3.5万円に引き下げた企業のみに従業員のiDeCo加入を認めているところを、規約の定めや事業主掛金の上限の引下げがなくても、全体の拠出限度額から事業主掛金を控除した残余の範囲内でiDeCo(月額2万円以内)に加入できるように改善する内容だ。これを実現するために、企業型DCの記録関連運営管理機関とiDeCo掛金を管理する国民年金基金連合会との情報連携を進めている。

 吉田氏が今後の制度改正の方向性として示唆したのは、DBを併せてDCを実施する場合の企業型DCの拠出限度額の見直しだ。現在は一律でDBの掛金を2.75万円と評価し、企業型DCの拠出限度額を上限2.75万円としているが、企業型DCのみを実施する場合のDC掛金の上限が5.5万円であるため、この5.5万円からDBの掛金相当額を控除した額をDC拠出額の上限にしてはどうかとした。現在のDBの拠出相当額は月額0.5万円~0.75万円のところに大きな山があり、実質的には2.75万円よりも相当低いのが実態で、「5.5万円からDBの掛金相当額を控除した額」とした方が、実質的にはDC拠出額の増額につながると考えられる。

 このように考えることで、企業型DCのみを実施している場合、企業型DCとDBを実施している場合、DBのみを実施している場合で、それぞれにiDeCoへの拠出可能額を一律月額2万円にし、かつ、企業型DC・DBの事業主掛金額との合計で5.5万円を超えないという規定で統一することも可能になる。そして、企業年金の上限規定が統一できれば、「この次に全体の拠出限度額の見直しという議論もできるようになる」(吉田氏)との見解だった。

 なお、このような拠出限度額の見直しに加えて、企業年金のガバナンスの問題は重要であり、特に企業型DCでは、「事業主には、加入者等が適切に資産運用を行うことができるよう、加入者等を支援する重要な役割・責任がある」と吉田氏は指摘した。その重要な役割の1つが継続投資教育の実施であり、その好事例を広く共有化するエクセレントカンパニー表彰のような取り組みは、意義があると語っていた。
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