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日立製作所の企業型DC、改正DC法を受け運用商品ラインナップの見直しを実現

2019/04/23 11:07

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日立製作所の確定拠出年金における資産残高の割合の変化
 日立製作所は2019年4月に確定拠出年金制度の運用商品を見直した。従業員の商品選択のしやすさを考慮し、従来の19本の運用商品を9商品に削減し、指定運用方法を導入した。今回の見直しのポイントと今後の制度運営について、同社人財統括本部人事勤労本部エンプロイーライフサポート部部長の小林由紀子氏と同部年金グループ部長代理の佐藤宏氏に聞いた。

 ――退職給付制度におけるDCの位置づけは?

小林 退職後に向けた従業員による主体的な資産形成の取組みを促すことを目的として2001年に確定拠出年金制度を導入したが、その当時から、制度体系の基本的な枠組みは変わっていない。退職一時金と企業年金の合計に対し、確定給付企業年金(DB)を60%、DCを20%、退職一時金を20%という比率だ。

 今回、DCの運用商品を見直すとともに、DBについては、従来の10年国債応募者利回りと連動した指標利率を用いたキャッシュバランスプランから、基金運用実績に連動する指標に変更するとともに、中長期的に持続可能な企業年金制度にするため、リスク分担型企業年金(キャッシュバランスプラン)に移行した。リスク分担型への移行は、当初は日立製作所のみで実施したが、今後、日立企業年金基金に加入する他のグループ会社についても順次移行する計画だ。

 ――DCの運用商品の見直しを実施した背景は?

小林 DCの運用商品については、時代の経過とともに、新しい運用商品が開発、投入されていることは承知していたが、実際に商品の入替を行うには、全加入者の同意を得る必要があり、実行には移せなかった。改正DC法によって、運用商品の入替に関する規制が緩和されたため、全体的な商品の見直しを行った。

佐藤 従来のラインナップは、投資信託としてバランスファンド3本、国内外の株式・債券のインデックスファンド各1本、国内株式アクティブファンド2本、自社株式ファンド1本、元本確保型8本(保険商品5本、定期預金3本)という構成だった。今回、各商品についてパフォーマンス評価や運用コストの水準などを他のDC商品なども含めて比較検討し、最終的に9本の商品ラインナップにした。

 まず、元本確保型商品は従来8本あり、同一区分に多くの商品が重複していたため、加入者の商品選択のしやすさを考慮して、定期預金1本にした。また、投資信託については、コストに見合った収益を実現できているかを運営管理機関が評価した上で、商品構成を変更した。

 バランスファンドについては、リスクを抑えたもの1本を採用し、その新規採用ファンドを指定運用方法にした。指定運用方法設定に当たっては、運営管理機関が法令の基準に照らして選定した商品について、労使で合意した。

 ――今回の運用商品の見直しについての加入者への周知の方法は? また、昨年から継続投資教育が企業の努力義務に位置付けられたが、それによって新たな教育プログラム等の導入は?

小林 運用商品の見直しについては、社内のeラーニングシステム等を通じて情報を伝達した。eラーニングは社内の教育システムとして定着しているが、eラーニングの利用環境がない従業員に対しては、紙面配布等で運用商品の変更を周知した。

 また、継続投資教育については、運用商品の見直し前より、集合研修セミナー等を毎年実施している。2007年に自社で運営管理機関を務める体制から、みずほ銀行への外部委託に切り替えた後の実施状況でいうと、2007年度から2015年度までの9年間に、日立製作所で行ったセミナーの実施回数は970回、運営管理業務をみずほ銀行に委託する日立グループ会社全体では2458回を開催した。

 加入者の運用状況や商品の運用成績は年1回労使で確認している。リスク性資産への投資状況は、元本確保型のみで運用している加入者が2007年度末で26%だったが、2017年度末には19%にまで減少している。投資信託のみで運用する加入者の比率は、2007年度末の29%が17年度末には22%へと減っていて、元本確保型商品と投資信託を合わせて保有する加入者の比率が45%から58%に増えた。

 全体的に、複数の商品で運用する加入者が増えていることが特徴だ。2007年度末には1商品のみで運用している加入者が31%だったが、17年度末には18%に減少している。5商品以上で運用している加入者の割合は、2007年度末は16%だったが17年度末には30%になっている。分散投資の重要性を投資教育で説明してきた効果のひとつと考えている。

佐藤 加入者の運用資産残高の割合の変化は、2002年1月の制度導入直後は投資信託が49.7%、自社株ファンドが3.6%、元本確保型商品で46.7%という比率だったが、2019年3月末には、投資信託が59.9%、自社株ファンドが2.6%になり、元本確保型は37.5%になっている。

 運用未指図者には、個別に運用指図実施を繰り返し働きかけて、運用指図をしないままに放置する加入者がいなくなるように努めてきた。2018年3月末時点では、加入者の運用実績の単純平均は、制度の想定利回り2.5%を超えている。

 ――人生100年時代がいわれ、退職後の長い老後生活を苦労しないよう、企業型DCの運営を通じた投資教育の浸透に期待が高まっているが、今後の継続教育等への取り組みは?

小林 制度運営を通じて継続投資教育に取り組んできて感じることは、従業員の興味・関心の度合いが人それぞれで、千差万別であるということだ。導入研修で制度への理解と、資産運用についての基本的な考え方について全加入者に等しく情報提供を行っているが、それ以降の継続投資教育については、加入者個々の興味関心に応えられるメニューを用意して、それぞれに理解を深めていってもらうより方法がないと感じている。

 継続投資教育について、どこまでやるべきなのかの線引きは難しい。当初、DCの導入にあたって、「従業員による主体的な資産形成を促すこと」を制度導入の目的としたが、その目的に沿って、時代に合ったDCの制度運営を心掛けたいと考えている。

 DC制度の導入から5年余りを経過したところで運営管理機関を外部委託することによって継続投資教育や情報提供についてブラッシュアップができた。そして、今回、運用商品の全般的な見直しによって、過去20年足らずの間に進化した運用商品の変化をキャッチアップすることができたと考えている。現在、社会保障審議会においてDC法の見直しの議論が進んでいるが、そこで示されるこれからの企業年金のあり方を受けて、改めて当社の実情に合った制度運営を追求していきたい。


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