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野村アセットマネジメント、主力のDC専用ファンド信託報酬率を業界最低水準に引き下げ

2019/02/27 09:34

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野村アセットマネジメント投資信託営業部
DC業務グループ担当部長 水谷龍雄氏
 野村アセットマネジメントは、今年6月以降に確定拠出年金向けファンド(DC専用ファンド)の一部について、信託報酬率を大幅に引き下げる。引き下げるのは、DC専用ファンドのうち残高の大きな14本のインデックスファンド。引き下げ後の信託報酬率は国内株式インデックスファンドで年0.14%(税抜)など、業界で最低水準になる。この取り組みを実施する背景と今後のDC事業について、野村アセットマネジメントの投資信託営業部DC業務グループ担当部長の水谷龍雄氏(写真)に聞いた。

 ――主力商品の信託報酬を大きく引き下げるということは、運用会社としては大きな決断だったと思います。今回、このような決定をなさった背景は?

 iDeCo(個人型確定拠出年金)も含めて、確定拠出年金市場のすその拡大をめざすため、運用会社として何ができるかということを真剣に議論する中で、多くの受益者の方々に等しくメリットを感じていただける施策として、信託報酬率の引下げが一つのメッセージになると考えました。

 改正DC法の施行によって、企業型DCを提供する事業会社は、制度運営責任として運用商品の選定についてコストやパフォーマンスなどの点で、もっぱら加入者のためになる運用商品をラインナップすることが求められるようになりました。アクティブファンドの場合は、パフォーマンスに見合ったコストという考え方もできますが、パッシブファンド(インデックスに連動するファンド)の場合は、インデックスへの連動率などパフォーマンス面と同時にコストについても比較されることが考えられます。

 その際、運用会社として同じ指数に連動するインデックスファンドを新たに立ち上げて商品を差し替えていただくという提案もできますが、運用商品のラインナップの上限が35本と決められる中、既存ファンドを除外して新しいファンドを入れるのは、大変大きな労力になります。また必ずしも加入者が新しいファンドにスイッチングするとも限りません。そこで、DCという制度の中で保有者が等しくメリットを享受できる既存ファンドの信託報酬率引き下げという決断をしました。

 ――国内株式は現0.19%を0.14%に、外国債券は現0.21%を0.14%に、そして、バランス型は現0.22%~0.24%を一律で0.14%にというのは、業界最低を超える水準に引き下げました。また、国内債券の引き下げ後0.12%、外国株式の同0.14%は、業界最低水準と同等の水準です。この信託報酬水準に決めた理由は?

 インデックスファンドは、同じ指数に連動するものであれば、信託報酬は低い方が制度運営責任に適う商品にふさわしいといえます。一方、赤字で将来の運用が継続できないという水準にはできません。

 また、今回の信託報酬を実現するためには、当社の受け取る報酬を削るだけでなく、販売会社様や信託銀行様の報酬も削減することで同意していただいています。関係各社のご協力を得て、ギリギリの水準に設定したのが、今回の信託報酬水準です。

 ――インデックスファンドとしては、他に、新興国の株式や債券、リート(REIT)などもありますが、この引下げファンドを選んだ理由は?

 国内外の株式・債券という4資産は、運用の中核と位置付けられるもので、残高も大きいからです。今回、引き下げ対象とした14本のファンドで、合計6300億円の残高があります。当社のDC向け専用商品全体の3分の2を占める主力商品です。多くの受益者の方々に喜んでいただきたいという思いから、当社の主力商品の信託報酬率を思い切って引き下げました。

 これを機に、改めて当社のファンドに注目していただきたいと思います。

 ――今回の信託報酬引き下げの影響をどのように見ていますか。

 信託報酬率引き下げの適用日は、早いもので国内債券と外国株式の6月18日からです。バランスは6月20日、国内株式と外国債券は7月23日から適用します。各ファンドの目論見書の改定時期に合わせて実施する予定にしています。

 企業型年金等で対象ファンドを採用いただいている企業にご説明にうかがうと、等しく歓迎していただけるのですが、これが、加入者の方々の商品選択や運用方針等に、どのような影響や効果があるのか、しっかり見ていきたいと思っています。

 信託報酬の引き下げは、パフォーマンスの向上に直接つながることでもあります。ファンドの魅力が増したということで、対象ファンドの選択が増えればうれしいです。 

 ――今後のDC専用ファンドについての取り組みは?

 近年、DC専用ファンドでは、ターゲットイヤーファンドの純資産残高が大きく伸びています。ターゲットイヤーファンドは米国の401K(確定拠出年金)の主力ファンドですから、2001年に日本で確定拠出年金が始まった年から商品として提供はされていたのですが、2012年ごろまでには残高が合計100億円以下のマイナーな存在でした。それが、2015年頃に残高が200億円を超えてから残高拡大に拍車がかかり、2018年12月末には500億円になりました。

 この2015年頃から残高増に拍車がかかったのは、運用会社が2014年後半以降に相次いで新しいタイプのターゲットイヤーファンドを投入したことが背景にあります。2001年当時から存在したターゲットイヤーファンドは、アクティブ運用が主流で信託報酬率が高く、商品の償還リスクもありました。これに対し、2014年以降の新しい商品群は、パッシブ運用が中心で信託報酬率を低く抑えたものになっています。

 この新しいタイプのターゲットイヤーファンドの中では、当社が提供する「マイターゲット」が2017年1月以降に群を抜いて残高を伸ばしています。iDeCoに採用していただいたことも残高増の理由の1つです。

 また、「マイターゲット」は、2018年4月に5年刻みの4ファンドを追加したことで、「2030」「2035」「2040」「2045」「2050」「2055」「2060」の7本のシリーズになりました。ターゲットイヤーファンドはシリーズの本数が増えても、運用商品のラインナップ上限(35本)のカウントでは1本とすることができるため、5年刻みのシリーズが主流になりつつあります。

 さらに、「マイターゲット」は、ターゲットイヤーの5年前から基準価額が5%下落すると一定期間を短期金融商品で運用する「下値保全機能」を付加しています。運用の最終段階でリーマンショックのような暴落に遭遇し、せっかく積み上げた資産を大きく目減りさせるリスクを回避するものです。そして、ターゲットイヤー到達後も株式の組み入れ比率を30%維持して安定型の運用を継続する仕組みにしています。ターゲットイヤーに到達する時には株式の組み入れ比率を0%にして短期金融資産で運用するという商品も少なくないのですが、定年延長という流れもあり「マイターゲット」のターゲットイヤー到達後も引き続き運用を継続するというコンセプトが、近年は支持していただくようになっています。

 長期の資産形成手段として確定拠出年金は、今後も大きな成長の可能性がある制度だと思っています。引き続きDC専用ファンドにおいて、加入者の方々の運用ニーズを満たす商品の提供に努めたいと考えています。
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