iDeCoの運用商品ラインナップの紹介を窓口でも、確定拠出年金の兼務規制が緩和

社会保障審議会 企業年金部会の様子
兼務規制は、確定拠出年金業務専任の職員でなければ、「運用商品の提示(運用商品の名称を加入者等に占めること)」「運用商品に関する情報提供(個別運用商品の具体的な情報の提供」ができないと規制するもの。もっぱら加入者等の利益のみを考え、加入者等の利益が最大となるよう運営管理業務を行うという忠実義務を厳格に行うため、自社商品の営業なども担う営業担当者は、運用商品について具体的な説明はできないと定めていた。このため、金融機関の窓口担当者(営業員)は、iDeCoの問い合わせに対して、制度内容については説明するものの、具体的な自社のiDeCoの運用商品ラインナップについてはコールセンターなどに問い合わせるように促していた。
しかし、実際にiDeCoの加入対象者が広がり、制度としての普及がめざされると、「兼務規制によって、加入者に対し不便をかけている」「兼務規制を厳格に守ろうとするため、窓口で積極的にiDeCoについて説明ができない」などの不都合が生じていた。また、金融機関に求められる「フィデューシャリーデューティー(顧客本位の業務運営に関する原則)」の徹底などによって、「運用の方法に係る情報提供業務を営業業務を行うものが兼務しても中立性を欠くことはない」という評価が確立してきたことなども、兼務規制の緩和を後押ししたと考えられる。
なお、今回の緩和措置にあたっても、運用商品ラインナップに入れる商品を選定することは専任の担当者に限定。加えて、営業職員による個別の運用商品の推奨助言は認められない(この点は専任者にも認められていない)。
今回の措置によって、iDeCoは、つみたてNISAなどの金融商品と同じように金融機関の窓口で運用商品の内容も含めて紹介できるようになる。自助努力の老後対策が求められる中、iDeCoが窓口で説明されることによって、一段と関心が高まり、加入者が増えることが期待される。

出所:企業年金部会
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