DC専用ファンド(2018年3月)、安定重視でバランスファンドに資金流入が活発化
DC専用ファンドの2018年3月の純資金流入額は約540億円と、前月(282億円)から大きく拡大した。市場環境の不透明感が払しょくされず、バランスファンドなどリスク分散を意識した商品に資金が流入している。バランスには214億円と前月(61億円)比3倍以上の純資金流入になった。2月に資金流入が細った先進国株式は100億円の資金流入と回復したものの、国内株式への資金流入額は111億円にとどまり、1月をピークに2カ月連続で資金流入額が減少した。

※3月の純資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成
DC専用ファンド全体の純資産総額は約4兆7,111億円と、前月比257億円減少した。1月末(約4兆8,494億円)から2カ月連続の減少となった。2カ月連続でマイナスになるのは、2015年12月~16年2月まで3カ月連続でマイナスになって以来、2年ぶりのこと。2018年3月末の資産配分状況は、株式ファンド44%、債券ファンド21%、バランスファンドに34%という割合で、2月末比で債券ファンドの比率が1ポイント上がった。(※個別のDC規約では、DC専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、DC専用ファンド全体の純資産総額は、国内DC制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない)

出所:モーニングスター作成
資金流入額のトップは三井住友TAM「分散投資コア戦略ファンドS」
DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキングトップは、三井住友トラスト・アセットマネジメントの「分散投資コア戦略ファンドS」だった。同じく同社が運用する「分散投資コア戦略ファンドA」が第2位となった。「分散投資コア戦略ファンド」は、公募投信では「コアラップ」の愛称で販売されている商品と同じ運用戦略を採用している。市場環境を運用会社が判断し、株高が見込めるリスクオンの局面では、株式等のリスク資産の組み入れ比率を高め、逆に株安が懸念される局面ではリスク資産の比率を低下させる。「S」は株式、リート、コモディティといったリスク資産の組み入れ上限を75%(公募投信ではコアラップ成長型と同等)、「A」は同50%(同安定型)。
資金流入額の第3位は野村アセットマネジメントの「野村 外国株式インデックスF(確定拠出年金)」が食い込んだものの、第4位には三菱UFJ国際投信の「三菱UFJプライムバランス(安定成長型)DC」、第9位に「三菱UFJプライムバランス(成長型)DC」、第10位が野村アセットの「マイバランス50(確定拠出年金)」になるなど、バランス型ファンドへの資金流入が目立った。
その他、ベスト10に入ったのは、インデックスファンドで、前月までトップ10に入っていたレオス・キャピタルワークスの「ひふみ年金」はトップ10から落ちた。資金流入ベスト10は、「三菱UFJ DC国内株式インデックスファンド」を除くと、過去1年のトータルリターンが1ケタ台のファンドばかりになっており、リターンよりも安定性を重視した商品選択になっていることがうかがえる。
DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキング

※2018年3月末時点、純資金流入額は推計値
出所:モーニングスター作成
リターン1位は3月連続アセマネOne「MHAM日本成長株ファンド<DC年金>」
個別ファンドの過去1年間のトータルリターンでトップは、前月に続いてアセットマネジメントOne「MHAM日本成長株ファンド<DC年金>」だった。同ファンドは3カ月連続のトップになった。前月第2位だったSBIアセットマネジメントの「SBI中小型割安成長株ファンド<DC年金>」は第4位に後退し、第3位だった「明治安田DC中小型株式オープン」(明治安田アセットマネジメント)が第2位に、第4位だった「DCダイワ中小型株ファンド」(大和投資信託)が第3位にあがった。トータルリターントップ10のうち9本が日本株を主たる投資対象にしているファンドが占めた。
DC専用ファンドのトータルリターン(1年)ランキング

※2018年3末時点、純資金流出入額は推計値
出所:モーニングスター作成
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