資産管理コラム

消費税10%への引き上げで進捗する社会保障改革、iDeCo積極活用の議論も本格化

2018/12/28 16:10

 2019年10月の消費税引き上げは、2013年12月に成立した「社会保障改革プログラム法」(持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律)で定められた工程表の仕上げになる。本来であれば、2018年3月までに終了するはずだったが、2年ほど予定を繰り下げての増税実施になる。この先送りされた2年の間にも、人口減と高齢化の進展は止まらず、社会保障の財源は一段と厳しくなっている。消費増税を機に、「人生100年時代の社会保障をどうするか?」という議論が一段と活発になるだろう。自助努力やiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の重要性が改めて強調されることになりそうだ。

 日本の総人口が2008年の1億2,808万人をピークに減少し、高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)は27.7%(2017年10月確定値)と過去最高を更新している。2065年には総人口が8,808万人、高齢化率は38.4%に達すると予測される。現状の社会保障制度を維持し続けることは難しく、これから「持続可能な社会保障制度」の実現に向けた負担と給付の微調整が延々と繰り返されることになる。公的年金の財政に余裕はなく、負担の引き上げ・給付の削減が予測されるため、「自助努力による老後の備え」は、国民が等しく「自分ごと」として考える課題になっている。

 社会保障改革プログラム法が規定した年金分野の改革は、基礎年金の国庫負担割合を2分の1への恒久的な引上げ、遺族基礎年金の支給対象の拡大、年金生活者支援給付金の支給、老齢基礎年金の受給資格期間の短縮(2017年8月1日から、必要期間25年から10年に)など。今後の課題として、(1)マクロ経済スライドに基づく年金の額の改訂の在り方、(2)短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の適用範囲の拡大、(3)高齢期における職業生活の多様性に応じ、1人1人の状況を踏まえた年金受給の在り方、(4)高所得者の年金給付の在り方・公的年金等控除を含めた年金課税の在り方の見直し――などが上げられた。

 2018年に開催された社会保障審議会年金部会では、この4つの今後の課題を中心に議論を進めた。議論を通じて、短時間労働者への厚生年金の適用範囲の拡大。また、日本の年金制度は、65歳を基準として60歳から70歳までの期間で任意に受給開始を決められる(65歳より前に受給すると年金額が減額され、65歳以降に受給開始すると年金額が増額される)ことを周知徹底することなどが確認された。

iDeCoの拠出可能期間、「60歳まで」から「65歳まで」に延長か?

 そして、2019年には、社会保障審議会企業年金部会において、iDeCoの掛金の拠出可能期間が60歳までと規定されていることを、65歳まで延長することを審議すると見込まれている。拠出期間が延長されると、その分、掛金への節税メリットを享受できる期間が長くなり、かつ、積み立てられる年金原資の金額も大きくなるなど、加入者が得られるメリットは大きい。拠出期間の延長は、iDeCoの加入申込を促進するきっかけになるかもしれない。

 「人生100年時代」というメッセージが政府発で、様々な機会を捉えて発せられるようになっている。平成29年簡易生命表によると、平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.26歳で、いずれも過去最長を更新している。同生命表では、90歳男性の平均余命は4.25歳なので、90歳の人は平均で94.25歳まで存命だということになる。90歳女性の平均余命は5.61歳だ。2055年に65歳に達する人(1990年生まれ)は、男性の5人に2人、女性の3人に2人が90歳まで長生きし、女性は5人に1人が100歳まで長生きする見込みだ。

年末iDeCo.jpg


 日本人の生涯としてイメージされてきた、60歳まで働いて、その後は年金暮らしをして80歳くらいで永眠するという生涯とは異なる現実がある。永眠するはずだった80歳になっても、余命が15年以上も残っているというのは、80歳までを生涯としてイメージしてきた人にとっては「不都合な真実」といえる。幸いにして、日本の公的年金給付は、生涯にわたって年金を支給してくれる仕組みだ。この制度が維持される限りは、決められた年金をキチンと納めている限りにおいて、最低限の生活費は得られるだろう。ただ、国民に広く公平に支給する公的年金にできることは限界がある。

 老後の生活を、テレビを漫然と見て過ごすだけといった生き長らえる暮らしではなく、健康維持のためにジムに通い、たまには旅行するなどアクティブに楽しい老後にするためには、公的年金だけではなく、「+α」の貯えがあった方がいい。その貯えを、節税しながら、非課税で行う手段がiDeCoだ。法律が改正され、65歳までの積み立てが可能になれば、50歳代になってからiDeCoを始めようとする人は増えるだろう。若い世代でも積立期間が延長されるのであれば、月々の積立額を減らすなど、より柔軟な積み立て計画が立てられるようになる。iDeCoの加入者は100万人を突破したとはいえ、20歳~59歳までの就業者数5100万人に対する比率は2%にも満たない。まだ普及の入口だ。

 消費増税は、日本の社会保障制度を持続可能なものとするためには避けて通れない。その高齢社会を豊かにする手段として、iDeCoの積極活用についての情報発信が、これまで以上に重要になっていくだろう。

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