資産管理コラム

それでも「元本確保型」を選びますか? iDeCo採用ファンドの約30%が20%超のリターン

2018/01/25 16:20

 iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)には「掛金の全額所得控除」のメリットの他、「長期間にわたって非課税で運用できる」というメリットがあります。運用益非課税のメリットは、経験則では運用期間が長期になるほど大きなメリットになるため、iDeCoはできるだけ若いうちからスタートした方が良いといわれます。しかし、iDeCo加入者の運用状況をみる限り、20代の「元本確保型比率」は60歳以上とほぼ同等の比率になっています。なぜ、若い世代が運用リスクを取りたがらないのでしょうか? その要因のひとつには、「知らない」ということも関係していると思います。昨年1年間の運用商品のパフォーマンスを振り返って、iDeCoの運用について考えてみたいと思います。

「運用収益非課税」は結果が出るとメリット実感

 所得控除のメリットは、掛金を拠出した段階で確定しますが、「運用益非課税」のメリットは運用成果が確定するまでわかりません。このため、iDeCoに加入する以前の段階で、運用益非課税のメリットはイメージしにくいと思います。このため、iDeCoへの加入にあたって、「掛金の全額所得控除によって15%(所得税5%+住民税10%)分の節税メリットがあるため、元本確保型商品で運用するだけでもメリットはある」と考えて、iDeCoに加入する方が少なくありません。

 実際に、2017年3月末現在のiDeCo加入者の掛金の配分比率をみると、60%強が預貯金か保険商品といった「元本確保型商品」で占められています。これを、10歳刻みで年代別の違いを調べてみると、掛金の拠出が終わった「60歳以降」が68.3%と最も元本確保型比率が高いのですが、それに次ぐのが、67.9%で「20代」という結果になっています。もっとも元本確保型比率が低い「30代」でも掛金の58.8%が元本確保型に配分という状況は、制度の活用という点では是正が必要と感じられますが、運用期間が長く取れ、かつ、今後に所得水準の向上が期待される20代が、退職間近の60代と等しい投資リスクしかとっていないということは奇異な感じがします。

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出所:運営管理機関連絡協議会「確定拠出年金統計資料」より、モーニングスター作成


iDeCo採用ファンドのトータルリターン上位は株式ファンド

 モーニングスターが把握しているiDeCo採用の投資信託512本の昨年1年間のトータルリターンランキングを作ると、1年以上の運用期間がある487本のうち、約87.5%の426本が1.0%以上のリターンをあげていました。元本確保型商品の成績は、ランキング446位のファンド以下になります。トップの「UBS中国株式ファンド」(UBSアセット・マネジメント)のトータルリターンは65.75%です。トータルリターンの上位は、株式ファンドで占められます。反対に、国内REIT(不動産投信)に投資するファンドは、マイナスリターンでした。

iDeCo採用ファンドの2017年のトータルリターン(1年)ランキング[抜粋]

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出所:モーニングスター作成


 2017年は、日本株式のパッシブファンドで年率20%程度のトータルリターンとなっていたこともあり、iDeCo採用ファンドのうち145本(487本のうち約30%)がトータルリターンで20%を超えるパフォーマンスになっています。このように投資信託のパフォーマンスが良好である中、元本確保型を選んでいれば、トータルリターンはゼロ%です。1年だけの成績でも、年率20%のトータルリターンのあるファンドであれば、毎月1万円の掛金で1万円以上の収益差が出ます。また、ドルコスト平均法で下落時に投資口数を稼いで価格の戻りで大きなリターンを得るのが長期積立運用の効果です。

 たとえば、「UBS中国株式ファンド」ファンドに昨年1月から毎月1万円を投資した場合、12月末時点での評価額は16.04万円。元本12万円に対し、金額で4.04万円、比率で33.7%の評価益を得ることができました。仮に、このファンドに10年間、毎月1万円ずつを投資し続けたとすると、元本120万円に対し、評価額は310.28万円。元本の1.5倍超の収益を得ることができました。この際、投資収益190.28万円に対する税メリットは約38万円になります。掛金の全額所得控除による税メリット18万円(年掛金の15%×10年)より、よほど大きな税メリットがあります。

「UBS中国株式ファンド」で毎月1万円を10年間継続した場合

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出所:モーニングスター作成


 トータルリターンが年60%を超えるような成績は、たびたびあるものではありません。また、リターンが大きいことは、それだけ値下がりのリスクも大きいことでもあります。「UBS中国株式ファンド」は、1年間で70.28%の値下がりを経験した過去もあります。このような短期的な値下がりリスクを、メリットに変えるのがiDeCo(また、つみたてNISA)などを使った積立投資の大きな効果といえます。

 「元本確保型」で運用を続ける限り、運用収益は生まれません。世界経済の成長が鮮明になっている今こそ、「株式」に注目してみてはいかがでしょう?

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