資産管理コラム

iDeCoの1年間の運用を振り返る、2017年は「株式」中心の運用が好成績

2017/12/21 09:27

 iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の加入対象範囲が大幅に拡大して1年が経過しようとしています。2017年1月からは、公務員、専業主婦(夫)もiDeCoに加入できるようになり、従来の自営業者と会社員(企業年金がない会社員、また、会社型確定拠出年金からの移管者)だけの「個人型確定拠出年金」から、国民全体が使う老後の資金準備制度「iDeCo」に変りました。この結果、iDeCoの加入者数は、2016年12月時点の約30万人が、10月時点で68.72万人と大幅に増えました。月間に3.5万人ほどの新規加入者がいるので、今年末には加入者数75万人ほどになる計算です。今年は、国内外の株式が年率20%超の値上がりとなりました。株式を中心に運用していた人は、「投資の魅力」が実感できた1年間だったのではないでしょうか?

iDeCo採用の投信で1年間の収支は「国内株式」が好成績

 iDeCoに採用が多い投資信託を使って、過去1年間の運用成績を振り返ってみます。まず、国内株式の代表的な株価指数であるTOPIX(東証株価指数)に連動する「東京海上セレクション・日本株TOPIX」については、11月末現在の過去1年間(16年12月1日~17年11月30日)のトータルリターンが23.72%になりました。この投資信託に掛金の100%を投資していた場合、11月末時点の積立金額は投資元本のプラス14.7%になっています。掛金が1万円だった場合、元本12万円に対し、積立残高は13.76万円です。信託報酬0.648%(累計約421円)を控除すると、1万7,179円の純利益です。

「東京海上セレクション・日本株TOPIX」つみたて購入の結果(16年12月~17年11月)

TOPIX2017.jpg

※棒グラフが投資元本の推移(最終:12万円)、折れ線グラフが積立投資の結果(最終:13.76万円)
出所:モーニングスター作成


 あるいは、2016年の運用成績が抜群に良かったJ-REIT(国内の上場不動産投信)に投資する「野村J-REITファンド(確定拠出年金)」に掛金の100%を投資した場合は、11月末時点の積立金額は投資元本からマイナス1.17%になっています。掛金が1万円だった場合の積立残高は11.86万円です。国内株式100%で運用した人と比較すると、1.9万円の差ができてしまいました。掛金2カ月分に相当する差ですから、大きいですね。信託報酬1.026%(約667円)を控除すると、マイナス分は2,067円(損失)になります。

「野村J-REITファンド(確定拠出年金)」つみたて購入の結果(16年12月~17年11月)

J-REIT2017.jpg

※棒グラフが投資元本の推移(最終:12万円)、折れ線グラフが積立投資の結果(最終:11.86万円)
出所:モーニングスター作成


 一方、国際分散投資を選択し、「三菱UFJライフセレクトファンド(安定成長)」に投資した場合は、11月末時点の積立残高は元本にプラス6.42%でした。掛金が1万円だった場合は、残高が12.77万円になっています。この投信は、国内株式33%、外国株式17%(日本を除く先進国株式)、国内債券45%(短期資産含む)、外国債券5%(日本を除く先進国債券)を基本資産配分比率として運用しています。株式50%、債券50%のポートフォリオです。信託報酬が0.7992%(約480円)を負担し、7,220円の収益です。

「三菱UFJライフセレクトファンド(安定成長)」つみたて購入の結果(16年12月~17年11月)

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※棒グラフが投資元本の推移(最終:12万円)、折れ線グラフが積立投資の結果(最終:12.77万円)
出所:モーニングスター作成

掛金の全額所得控除で手数料や運用のマイナス分までもカバー

 現実をいえば、加入時には2,777円の手数料がかかり、毎月の掛金からは167円~600円程度の運営管理機関手数料を負担した上での投資になります。掛金を1万円にしても1カ月目の積立金額は実際には7,000円程度、2カ月目から9,800円程度になり、ここで計算した収益率は圧縮される結果になります。ただ、所得税率が5%(課税所得が195万円以下)の会社員・公務員・自営業者の方は、年間12万円の掛金に対し、1万8,000円の税金の戻りがありますから、iDeCoにかかる手数料(初年度は4,781円~約1万円、2年目以降は2,004円~約7,200円)は、戻ってくる税金で賄えてしまいます。たとえば、J-REITで運用して出た損失2,067円もカバーしてくれる計算です。課税所得がより多い方は、戻ってくる税金の金額も、一段と大きくなります。

 ここでは、投資対象によって得られる収益に差が出てしまうこと、そして、その差は決して小さくはないことを学びましょう。3つの投信の過去1年間の基準価額の推移をみると、5月ごろまでは、どの投信に投資していても、ほぼ横ばいの成績だったものが、7月以降に明確な運用成績の差が出てきています。

3つの投信の基準価額の推移(17年12月19日から、過去1年間)

HIKAKU2017.jpg

出所:モーニングスター作成


 ただし、いつも国内株式が年率20%を超える収益を生み出すとは限りません。今回比較した3つの投信の四半期(3カ月間)ごとのトータルリターンの履歴をみると、株式やJ-REITは、プラスとマイナスが目まぐるしく入れ替わっていることがわかります。2013年第1四半期から2017年第3四半期まで13回のうち、TOPIXは4回のマイナス、J-REITは8回のマイナスがあります。バランス型も4回はマイナスです。プラスマイナスのフレ幅を比較すると、四半期で10~20%も動いてしまうTOPIXと比較すると、四半期でせいぜい10%程度しか動かないバランス型の安定度が見て取れます。

 iDeCoの運用は、60歳になるまで続く長い運用になります。それぞれの投信の値動きを振り返って、どの投信の値動きが自分の期待する動きに適っているのかを判断しましょう。iDeCoは、既存の銘柄の変更(スイッチング)もできますし、これから投資する商品の変更もできます。掛金の投資比率を変更することもできます。運用の自由度がありますので、ある程度の運用の期間が経過したら、その経過を振り返って運用方法の見直しも検討しましょう。

「東京海上セレクション・日本株TOPIX」四半期ごとのトータルリターン

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「野村J-REITファンド(確定拠出年金)」四半期ごとのトータルリターン

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「三菱UFJライフセレクトファンド(安定成長)」四半期ごとのトータルリターン

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出所:モーニングスター作成

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