資産管理コラム

人生100年時代、60歳で受け取れるiDeCoは長寿の心強いパートナー

2017/11/16 19:27

 安倍首相の肝いりで進められている「人生100年時代構想会議」は、「2007年に日本で生まれた子供については、107歳まで生きる確率が50%もある」という超長寿社会を見据えた新しいロールモデルの構築をめざしています。「人生100年」では、「60歳」は人生の折り返し点を通過したばかりです。この視点で考えると、「60歳以降に資金を引き出せるiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)」が、より重要なものになってきます。iDeCoが60歳までは引き出せないことをデメリットという見方もありますが、人生が100年と考えるならば、長い人生の半ばで使うことができる資金ということになるからです。

 これまでは、60歳を「還暦」、60歳以降には「余生」というイメージもありました。ところが、今年9月に開催された第1回人生100年時代構想会議で、ロンドンビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏の説明資料等で示された見通しでは、2007年生まれの子供たちは、50%以上が100歳を超える長寿とされています。日本人は、世界で最も長く107歳まで生きるといわれています。「人生100年時代構想会議」でも「健康寿命」という言葉が使われるように、ただ長生きするのではなく、健康な状態で長生きし、70歳くらいまでは元気で働いているような社会をめざしています。


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 安倍総理が消費増税の使い道として示した「人づくり革命に2兆円」という政策パッケージにも、「何歳になっても学び直しができるリカレント教育」への予算配分が加わっています。このリカレント(recurrent:反復・循環)教育は、「人生100年時代構想会議」の主要議題のひとつです。グラットン氏も「教育」→「仕事」→「引退」という「3ステージのモデル」から、「会社勤め」以外に「組織に雇われない働き方」「ポートフォリオ型(有給の仕事と様々な活動の組み合わせ)」などの働き方も選択することができる「マルチステージの人生」になるよう生涯にわたる学びの機会を用意することの重要性を説いています。


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 政府が予算をつけて、リカレント教育の環境整備に乗り出すと、急速に環境整備が進むことが期待されます。そして、これらの環境整備に続いて検討されるのは、現在は65歳から支給開始される公的年金の支給開始年齢の一段の引き上げでしょう(男性は2025年度以降、女性は2030年度以降に完全実施)。公的年金の支給開始年齢の引き上げに伴って、企業が60歳定年を65歳に引き上げ始め、企業の定年延長への取り組みは道半ばですが、それにかぶせるように、公的年金の支給開始年齢の後ろ倒しという議論が始まる見通しです。それほど、公的年金の見直しへの圧力は強くなっています。

 しかし、現実問題として、公的年金の支給開始が67歳や70歳などに先送りされ、否応なく65歳以降も働かなければならなくなったとしても、自分自身の身体能力が働くことに耐えられるかどうかは別問題です。働けない、かつ、年金の受給も受けられない(前倒しで減額受給する)という状況では、生活環境は厳しくなります。一般に「長生きリスク」などともいわれますが、「経済的、体力的に限界なのに、医療技術等の発達によって長生きさせられる」という望ましくない状況になってしまいます。

iDeCoを使って30年間で900万円をつくる方法

 iDeCoは60歳から引き出すことができます。60歳を超えて身体に不調が現れ、働くことをセーブする場合、iDeCoの資金を活用することが可能になります。たとえば、1カ月間の生活費を15万円と考えると、1年間で180万円、5年間で900万円です。iDeCoに900万円の資金があれば5年間はiDeCoを取り崩しながら生活していくことができます。公的年金の支給が始まる65歳を前にして、身体の不調が現れたら、一旦仕事を休んでiDeCoの取り崩しで生活をし、リハビリ生活をして体調が回復したら仕事に復帰するということもできます。高齢期の就労は、若い頃のように体力に恵まれていません。体調と相談しながら、柔軟に働いていくことを考えたいところです。その時に、iDeCoで積み立てた資金が活躍します。

 iDeCoは収益にかかる20%の税金が非課税ですから、毎月1.2万円を30年間積み立て(30歳スタート、単純積立432万円)て、年率平均4.5%で運用できれば900万円になります。運用期間が35年(25歳スタート)では、年率4.5%で運用できるのであれば、毎月9,000円でも900万円が作れる計算です。年率4.5%は、大雑把にとらえて世界経済の予想成長率3%+株式の配当利回り1.5%を取り入れることを想定しています。株式を中心とした運用を前提にしていますが、長期の積立投資であればドルコスト平均法のリスク低減効果も期待できます。また、掛金の全額所得控除によって、年間掛金額の15%以上が還付されますから、30年以上の運用であれば毎月1万円の積立でも、運用益以外に50万円以上の還付金を受け取れます。若いうちから少しずつ準備することによって、特段の無理をしなくても老後の生活不安を抑えることができます。人生100年時代にはiDeCoは大変心強いパートナーになります。


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