資産管理コラム

iDeCoの資産形成、将来の資金収支を視野に入れて早めのスタートが肝心

2017/11/10 19:20

 iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)を使った資産形成は、可能な限り、若いうちに始めた方が良いといえます。ひとつには、積立可能な期間が60歳になるまでなので、50歳以降に始めると積立期間が10年以下となり、自営業を除くと毎月1万円~2万円程度しか積立できないため、開始する時期が遅れるほどに積立可能金額が小さくなってしまいます。そして、もうひとつ、家計の収支を年代別に調べると、40代になって子供が大学に進む頃、家計の余裕が失われ、iDeCoを利用することを考えもしなくなってしまいかねないからです。

家計の資金収支を考えた対策を

 人生の3大出費といわれるのは、「住宅」「教育」「老後」です。いずれも数千万円が必要になる出費ですが、このうち、「住宅」と「教育」の出費は重なってしまいます。住宅ローンは35年などという長期で組みますから、30代で住宅を取得するとすると65歳くらいまでは住宅ローンの支払いが続きます。多くの方々が、定年(65歳を想定)までに住宅ローンを完済するという計画で持ち家の取得を考えます。

 一方で、子どもの教育費に最もお金がかかるのが、大学入学の前後です。子どもが生まれてから17年~19年という頃です。30歳で結婚してすぐに子どもが生まれたとすると、40歳代の後半。住宅ローンを抱えていると、そこに受験のための予備校・塾代、そして、入学費用などの負担がのしかかります。子育て世帯は、夫婦共稼ぎで歯を食いしばって働かなければ家計の資金が回らなくなってしまう時期です。

老後の生活を圧迫しそうな教育費と住宅費

 実際に家計の金融資産と負債の関係を統計的にみると、30代、40代では、資産額を負債額が上回る状態になっています。1989年から2014年まで年次推移をみると、近年ほど資産と負債の関係が悪化しています。低金利によって住宅ローンなどを借り入れる金額の残高が膨らみやすいこと、また、金利でお金が増えないため金融資産額が減少傾向にあるためと考えられます。

 現在、大学など高等教育に必要な資金について無償化が検討されていますが、住民税非課税世帯(年収約250万円世帯)に限定された議論です。奨学金制度の拡充などによって、子どもが自分で学費を手当てする手段も整えられつつあるとはいえ、家計の負担感の軽減には限界があるでしょう。


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※世帯主が50歳未満の世帯では、貯蓄現在高よりも負債現在高が多くなっており、金融資産額がマイナス

 また、持ち家比率は世帯主が若くなると、徐々に低くなる傾向があります。30歳未満の世帯では、持ち家世帯比率は1968年の44.4%から、2013年には14.7%に大きく減少しました。この傾向は長期に続く傾向になっているため、今後は、借家住まいの高齢世帯が拡大する方向です。持ち家と借家での住居費にかかるコストが、どの程度の比率で老後の生活を圧迫するのか、今後の住宅事情の変化と合わせて考えなければなりません。現在の高齢世帯が、持ち家に住み、過去の貯蓄を取り崩しながら老後生活を送っていることとは異なる老後が増える見通しです。

30歳を超えても両親と同居する未婚者が増大

 また、最近の世帯調査では、近年は25歳~49歳で両親と同居する未婚者の割合が顕著に増加しています。晩婚化とともに、非正規雇用などによって親から独立して家計を持てるほどに収入がない若い世代が増えているのです。いつまでたっても子どもが独立しないと、親世代の老後生活準備も進まないことになってしまいます。こうしたデータは、厚生労働省が進めている「新たな支え合い・分かち合いの仕組みの構築に向けた研究会」によって整理され、次の社会保障制度を検討する枠組みつくりが始まっています。

 このように家計の収支を考えていくと、将来の生活に使える資産は少しでも多く残しておきたいところです。子どもが成人して独立ができる50歳代になると、多くの世帯でゆとりができて老後の資産形成が一気に進むのが現在の傾向ですが、自分自身が50歳代を迎えた時に、自分の家族がどのような状況になっているのか、読みづらくなっています。晩婚で、一番教育費負担が大きくなっているかもしれません。あるいは、子どもが成人しているものの、同居して子供の生活費の一部を負担している状態かもしれません。


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※25~49歳で両親と同居する未婚者の割合が顕著に増加

iDeCoで毎月5000円からの老後対策、掛金の見直しは柔軟に

 現在の傾向を考えると、子どもが独立してから自分の老後を考えようというようなことでは、自分の老後資金を貯えることなどできないかもしれません。生活に余裕資金があるのであれば、今からでも老後の蓄えをつくる行動を起こすべきです。iDeCoで積み立てた資金は60歳までは引き出せません。掛金は毎月5000円以上で始められます。1万円、2万円の掛金を途中で5000円に落とすこともできます。生活資金がひっ迫している間は、掛金の拠出をストップすることも可能です。まずは始めて、無理なく続けていくことが重要です。誰にでも訪れる老後をできるだけ心穏やかに迎えられるよう、早めの準備が肝心です。