資産管理コラム

iDeCoは別腹、世代を超えた備えは変化に連動する「株式」での運用が似合う

2017/10/24 18:19

 日本の株価が歴史的な連騰記録!、アメリカの株価が史上最高値をまたまた更新!――などというニュースを「自分には関係ない」とスルーしているあなたも、前回の東京オリンピック開催時(1964年10月)の日経平均株価が1,212円だったことを知ると、現在の21,000円台の株価は隔世の感があると感じるでしょう。iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の運用期間は、現役世代が引退するまでですから、世代をまたぐ社会変化があります。「お金」の価値観は大きく変わるでしょうから、「元本確保型」という現金に等しい商品で運用していては、将来に悔いを感じることになりそうです。1万円を単なる1万円として「現金」で積み立てるのではなく、「1万円分の株式」として積み立てていくことの意味を考えてみましょう。

月給「1万円」が50年後には「16.6万円」に

 先の朝の連続テレビドラマでは、高卒で働き始めた主人公の月給が当時は1万円程度だったと描かれていました。現在の初任給が高卒16.6万円であることを考えると、ちょうど給与が増額した比率(16.6倍)で、日経平均株価も値上がりした(1,212円×16.6=20,119円)といえるかもしれません。この間は約50年間です。今、25歳のあなたが、75歳になった時、この同じ比率で初任給の水準も株価も変化すると想定すれば、日経平均株価は35万円になっていることになります。


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 もっとも、戦後復興、高度成長といわれた1960年代の日本と、現在の日本では比較のしようもありません。60年代当時の日本は、第二次世界大戦直後の1947年~49年に生まれた「団塊の世代」が高校生くらいです。若い人々が大勢いて、日本がグングンと経済発展した時代でした。現在は、少子高齢化。65歳以上の高齢者が日本の人口の27.3%を占めています。1965年の65歳以上の比率は6.3%です。そして、これから50年を経た未来には、おそらくロボットが多くの仕事を引き受けているでしょう。その時の貨幣価値がどうなっているか想像もできません。現在とは大きく異なる社会秩序ができあがっていることでしょう。

将来社会を実現する技術革新を「株価」は反映する

 30年後、50年後という遠い将来には、どんな技術革新が起きているでしょう? 蒸気機関の発明、インターネットの普及などに匹敵するような社会の様相を大きく変える技術は、既に私たちの目の前にあります。AI(人工知能)やロボット、ドローン、自動運転、ブロックチェーンなど、一部で実用化されている技術が、より便利なカタチに進化して、私たちの生活の中に入ってくるのです。これらの技術革新に果敢に挑戦しているのは上場企業です。新しく生まれた企業も資金調達をして将来は上場します。あるいは、既存の上場企業に飲み込まれ、併合されます。アメリカの株価が史上最高値を更新し続けている背景には、将来の社会の基盤になっていくだろう先端技術に対して、もっとも貪欲に投資し、研究開発している企業がアメリカに多いということなのでしょう。

 これに対し、「現金」は最も保守的な存在です。財産の基礎になる価値ですから、簡単に変わってもらっては困る存在でもあるからです。日本では、第二次世界大戦に伴うハイパーインフレに対応するため1946年2月に「新円」への切り替えが実施されて以来、現金の価値が大きく切り替わるような変化は起こっていません。日本円の価値は、国内のインフレと日本の国際競争力を反映して、緩やかに連続した価値を保ち続けています。


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 iDeCoと「つみたて投資」は、似て非なるものといえるようです。iDeCoの目的は、老後生活の資金という「次の世代(自分の老後)」を対象としています。ところが、一般にお金を積み立てて蓄えをつくろうと考えた場合は、「私の住宅の頭金」、「子どもの教育資金」など、「現在の世代(私、私の子ども)」のための資金作りが目的になります。今、小学生の子どもが、10年以内に大学に進むことは、現在の延長線上にあります。自分自身が経験した受験勉強が必要でしょうし、大学に入学すれば卒業までに今の価値で数百万円の学費が必要になります。目的の達成までに、社会や通貨の価値が大きく変化するようなことは起こらないでしょう。現金や現金に近い資産で積み上げることもできます。

「老後の楽しみ」は自らの力=iDeCoでつくる

 ところが、自身が「老後」を迎える30年以上先には、どんな社会的な変化が起こっているかはわかりません。「老後」とは、その言葉のとおり、自らは働かずに「年金」(公的年金+自助努力で貯えた金融資産)で暮らしていく期間です。国は、公的年金によって現役世代の2分の1相当の年金を保証しています。老後の生活費が働いている期間の生活費の半分で暮らしていけるのであれば、公的年金だけで暮らしていくことができます。ただ、病気などによって現役時代にはない医療費や介護費用を負担するようになるかもしれません。あるいは、健康であったら、旅行に行くなど、生活に楽しみを求めるのは当然でしょう。公的年金では、その趣味や楽しみのための資金は用意しません。

 iDeCoは別腹です。住宅や教育など、今の生活に必要な資金は、しっかりと目的に合わせて貯蓄します。つみたてNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)を使って投資信託で積み立てる場合も、できるだけ広く分散したバランス運用によって大きな投資リスクを取らない運用を心掛けましょう。iDeCoは、老後の楽しみのための資金をつくるのですから、成長資産として楽しみが大きな「株式」で運用する方が似つかわしいようです。生活費をセーブして貯えるというより、最初からなかったつもりで給与から直接引き去りましょう。会社型DC(確定拠出年金)やマッチング拠出のように、口座に振り込まれる前に拠出されていることが望ましいといえます。

 iDeCoで積み立てる資金が使えるようになる遠い将来は、どんな社会になっているのか分かりません。ロボットが労働の大半を担い、海外のどこへでも1時間以内で旅行できる時代になっているかもしれません。そのような社会の変化をストレートに映す株式こそが、「老後」に備えるための資産といえるのではないでしょうか? まずは、第一に「資金を将来に残そうという意思」が大事ですが、その資金を「社会の変化に対応して成長する資産=株式」で積み立てていくことが併せて重要だと思うのです。いかがでしょう?