資産管理コラム

「資産形成の時代」が到来? 家計に占める投資商品比率が拡大 「iDeCo節税シミュレーション」で「始めるメリット」を実感

2017/09/21 19:55

 日銀が発表した家計の金融資産は今年6月末現在で1,832兆円と過去最高を更新しました。全体の伸びは前年比4.4%増となった中、「株式等」が22.5%増、「投資信託」が15.6%増と大きく伸びたことが特徴です。「預金・貯金」の伸び率は2.6%で全体の伸び率を下回りました。「NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)」や「iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)」などを使った資産形成について、「貯蓄から資産形成へ」の掛け声のもと、一段と普及していくことが期待されています。家計の投資商品比率は、このまま拡大が続くのでしょうか?


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 6月末の金融資産残高で「株式等」や「投資信託」が大幅に伸びたのは、1年前と比べて株価が大幅に上昇した影響もあります。日経平均株価は16年6月末が15,575.92円だったものが、17年6月末には20,033.43円へと約30%の値上がりでした。米S&P500は2,098.86から2,423.41に値上がりし、この間、為替が1ドル=103.24円から112.44円へと円安に進んだことで、円ベースでは約24%の値上がりになっています。結果的に、株価の上昇分ほどには「株式等」も「投資信託」も、家計の金融資産の残高は伸びていないともとれます。株価が値上がりすれば、利益を確定して現金化してしまうことが一般的です。ただ、当然ながら「儲かった」のであれば、その資金は、一時的には現金化されても、いずれ投資に戻ってくると期待されます。

日米の家計金融資産の間に横たわる株式市場の長期トレンドの差

 日米の家計の金融資産を比較して、日本の家計は株式や投資信託などの投資資産の比率が低いという指摘が久しくありますが、それは「投資さえしていれば儲かった米国」(米国の株価は一貫して右肩上がりで最高値を更新し続けています)と、「日経平均が2万円で頭打ち(2万円前後まで上がると下落する)」という日本の株式市場の差が大きいといえます。日本では「株価が上がったら利益を確定しないと下がってしまう(儲けそこなう)」という経験則があるからです。

 家計が、預貯金から投資信託に資金のシフトをするには、やはり、明確に「預貯金よりも投資信託の方が有利」ということを証明する必要があります。「損をするかもしれない投資信託」の方が、元本が守られる預貯金よりも有利ということを納得してもらうのは至難のワザです。「インフレになると、預貯金は実質的に目減りする(現金の購買力が低下する)」というのは一つの真実ではあるのですが、だからと言って投資信託を購入することの動機づけにはなりません。

 投資信託を購入する動機づけとして一番良いことは、「投資信託を購入して良かった」という成功体験の積み重ねです。米国の場合は、株価が右肩上がりで上昇を続けていますので、株式に投資する投資信託を購入した人は全てが「良かった」と感じるでしょうし、3年より5年、5年より10年というように長期で保有しておいた方が大きなメリットを得られたと感じていることでしょう。逆に1年で売却して得る収益より、5年持っていた方がよほど大きな収益を得られたというように、「短期で売却するのは損、長期で投資した方が得」という感覚が染みついていると思います。

積み立て投資が「成功体験」に近づくポイント

 「iDeCo」や来年1月にスタートする「つみたてNISA」は、「積み立て投資」に導くことで、「負けにくい投資」を体験してもらうことにつながります。毎月、一定金額を積み立てていく投資では、価格が動く投資商品を購入し続けると、価格が下がると多くの量を買い、価格が上がると少ない量を買うというドルコスト平均法の効果が得られ、購入平均単価を引き下げることができます。しかも、NISAやiDeCoは価格の値上がりや分配金等によって得られる収益にかかる税金(20%)を非課税にして、収益が残りやすい制度として提供されています。負けにくい投資方法に、収益非課税という制度メリットを付加することで、少しでも多くの「成功体験」を広げようという意図が見えます。

 国がここまでして、「資産形成」を呼びかける背景には、社会保障制度の限界が見えてきて、個々人が自らの力で将来の貯えを積み増してほしいという切実な事情があるのでしょう。ゼロ%の金利で積み立てを続けるだけでは、後に残る資産に限界があります。株式の配当利回りや海外の金利等で少しでも有利な手段で、「お金でお金を増やす」、しかも、「長期で複利で増やす」という取り組みを広げたいのです。

iDeCoの節税効果は「節税シミュレーション」で実感

 iDeCoは、「収益非課税」に加えて、毎月の掛金が全額所得控除の対象になるという「始めるメリット」が大きな制度になっています。モーニングスターの「節税シミュレーション」は、全額所得控除のメリットが具体的にいくらになるのか、金額で示してくれます。所得控除の計算には「課税所得」を計算する手間がかかりますが、「節税シミュレーション」は、「年収(税込)」に配偶者の有無、扶養する子供の人数など、当たり前にわかっていることを入力するだけで、簡単に調べることができます。
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 年間の所得控除による節税メリットが5万円で、60歳になるまで30年間の期間があれば、150万円のメリットがiDeCoを始めるだけに手に入れることができます。計算ではそうなるのですが、自分自身の条件を使って実際に計算してみると、意外と大きな金額が得られることが実感できます。また、運用期間中の想定利回りを入れることで、収益非課税の効果が分かります。預貯金では想定利回りがゼロ%ですから、収益非課税のメリットがゼロですが、年間3%程度の収益をめざすだけで、20年~30年間という長期で投資を続けていれば数十万円の非課税メリットが受けられることが分かります。

 iDeCoの節税メリットは、「始めるだけ」で得られます。掛金の全額所得控除は預貯金で積み立てても効果は同じです。運用益非課税のメリットを感じるために、掛金の50%は預貯金にして、残り50%は株式投信にするということもできます。投資商品の半分を預貯金にした場合は、運用益非課税の金額が半額になると考えれば良いのです。それでも結構な金額が得られることがわかります。iDeCoは、まずは「節税メリット」の確認から検討してみましょう。
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