資産管理コラム

50歳代からのiDeCo、老後の資産準備に遅すぎるということはない

2017/09/01 16:50

 iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)については若いうちからスタートすることが大事ということが強調されていますが、すでに50歳を超えている人は、どのように考えればよいのでしょう? 50歳代になると、「老後(退職後)」という言葉が身近に感じられます。50歳からのiDeCoについて、メリットとデメリットを考えてみましょう。

50歳以降にiDeCoに加入するメリットとデメリット

 まず、50歳以降にiDeCoに加入すると、受給開始時期が60歳から後倒しになります。50歳1カ月で始めた場合、受取は61歳以降です。55歳で始めると、63歳以降でないと受け取れないということになります。また、iDeCoのゴールは60歳ですから、50歳を超えると積立可能期間が10年以下になります。たとえば55歳で開始して、会社に企業年金制度がない場合の拠出限度額2.3万円(年間27.6万円)をかけたとしても、拠出金額の合計は138万円ということになります。


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 掛金の拠出期間が短いだけに、「年金資産」をつくるという点では、iDeCoの拠出限度額が小さいという点は意識せざるを得ません。ただ、公的年金以外の企業年金等の老後資金準備がない場合、思い立ったら加入手続きをした方がいいでしょう。掛金の全額所得控除の効力は、1回目の掛金から効力を発揮します。課税所得金額が330万円以上(695万円以下)の場合は、毎月2.3万円の拠出に対して年間8.28万円の節税メリットがあります。課税所得330万円以下(195万円以上)でも節税効果は5.52万円ですので、iDeCoの口座開設、および、口座管理手数料を支払ったとしても十分な見返りになります。

NISAとの併用で高速で資金準備も

 ただ、iDeCoの拠出限度額では積立金額そのものに限界がありますので、NISA(少額投資非課税制度)との併用を考えましょう。年間120万円のNISAを使えば毎月10万円までの積立が可能です。NISAには所得控除のメリットはありませんが、iDeCo同様に運用益非課税のメリットはあります。働くことによって、老後に先送りできる資金があれば、できるだけ有利な方法で資金の先送りを考えましょう。iDeCoは口座管理手数料が継続的にかかるため、掛金の所得控除機能がなくなる60歳以降では、口座管理手数料のないNISAの方が利用限度額も大きく使いやすいということもあります。

 現実問題として、金融資産が無し、または、極めて少ない世帯が増加してきていることが問題視されるようになってきています。現在の高齢無職世帯の家計の収支では、公的年金の受給だけでは、支出を賄えていないという実態があるだけに、公的年金にプラスする自助努力の老後生活資金を積み立てておくことは重要です。

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 もっとも、貯蓄がなくても働くことによって公的年金の不足額を補うということも可能でしょう。十分な貯蓄が確保できそうにない場合は、高齢になって体力や気力が衰えてきても収入が得られるスキルを身に着ける、あるいは、働く場を確保するということも退職が意識される50歳代後半には意識することも必要になります。

老後の資金を増やす一方、支出を減らす工夫も

 一方、50歳代になってiDeCoに加入するなど老後生活に向けた準備を始めることは、日々の生活における支出を抑制する効果も期待できます。老後生活をできるだけ心穏やかに暮らせるようにするには、公的年金にプラスαで資金を準備することと加えて、生活の支出を抑えることを考えましょう。

 退職を機に、翌日から生活費を抑えることは難しいので、現役で働いている間から徐々に生活費の水準を抑える生活態度に改めるようにします。毎月、一定金額を老後に先送りするように暮らすと、その分、生活費の抑制にもつながります。

 なお、65歳を超えても一定の収入があり、公的年金を受け取らなくても生活が成り立つ場合は、公的年金の受給を遅らせることもできます。受給時期を繰り下げると、老齢基礎年金が繰り下げした年齢に応じて月単位で年金額を増額させます。増額率は一生変わりませんので、効率の良い老後生活資金確保策になります。70歳から受け取り開始にすると増額率は42.0%になります。

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 老後の生活準備は人それぞれです。退職給付(退職金+企業年金)が十分に用意されている大企業、または、公務員で40年以上にわたって勤め続けた人であれば、退職後の生活のために資金を用意するという必要はないかもしれません。老後の準備は大事なのですが、老後のために日々の生活費を大幅に切り詰めたために生活の楽しみがなくなったというような暮らし方は、決して好ましいものではありません。一度立ち止まって、退職を機に生活の収支がどのようになるのかを考え、無理のない準備を進めたいところです。