資産管理コラム

比較しよう! DC専用ファンドの優位性は長期になるほどクッキリわかる

2017/08/10 13:34

 夏季休暇のシーズンです。連日気温が30度を超えるような猛暑が続いているので、屋外での活動はなるべく避けたいと感じている人が多いと思います。ゆっくりとパソコンと向き合うことができるのであれば、モーニングスター公式サイトのファンドデータを使って、ファンドのパフォーマンス比較をしてみませんか? 特に、同じファンドで、通常の公募ファンドと確定拠出年金(DC)専用ファンドを比較すると興味深い結果が出ます。同じ運用をしていても信託報酬の水準が違うと3年、5年では明確な差がでてきます。今年は「iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)元年」といわれ、来年1月からは「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」も始まります。日本の資産形成の考え方が大きく変わろうとしている現在、少し遠い将来に思いを馳せてみるのも、夏季休暇の1日の過ごし方として意味があるのではないでしょうか?

iDeCoがじぶん年金をつくる手段として優れているわけ


 今年になって加入対象者が広がったiDeCoについて、老後資金の準備をするためにピッタリな制度といわれますが、何がそれほど優れているのかピンとこないと感じておられる方も少なくないと思います。掛金が全額所得控除されることは、他の制度にはない大きな魅力なのですが、そもそも所得税を負担していない専業主婦(夫)は、所得控除のメリットがありません(iDeCoの控除によって年間103万円の非課税限度額以内で働いている人が、iDeCoの掛金分=最大月額2.3万円だけ多く働いても、所得控除によって103万円の壁を超えなくなるメリットはあります)。ただ、DC専用ファンドを使った運用コストの低減効果は、全てのiDeCo加入者に等しく得られるメリットです。

信託報酬の「0.数%」の違いが生み出す差


 以下の比較チャートは、TOPIX(東証株価指数)に連動するインデックスファンドの過去のパフォーマンスを示しています。同じ運用会社が運用していますが、過去3年のパフォーマンスに差異が生じていることがわかります。このパフォーマンスの違いに大きくかかわっているのが「信託報酬」です。インデックスファンドについては、近年、信託報酬の引き下げ競争が起こり、設定日が新しいほど、信託報酬が低い傾向にあります。また、既存のインデックスファンドの信託報酬の水準を引き下げることも実施されています。ところが、その新しいタイプのインデックスファンドより、DC専用ファンドは一段と低い水準の信託報酬になっています。

hikaku3.jpg
hikaku02.jpg

出所:モーニングスター作成

 加えて、公募投信には販売手数料が1%~3%程度かかりますが、DC専用ファンドは無料。最低申込金額もDC専用ファンドは1円以上(通常は1万円以上)になっています。低コストで使い勝手が良いというのがDC専用ファンドの魅力です。このメリットは、DC専用でしか得られません。近年、この「DC専用ファンド」を一般に販売できるようにする動きもありますが、一部にとどまっています。DC専用ファンドは、年金資金として長期にわたって継続的な資金流入が期待できるという制度の特徴があるからこそ、思い切って低い信託報酬が設定できるのです。

 そして、iDeCoを使うからこそ、このDC専用ファンドのメリットが得られるといえます。上記のパフォーマンス比較は、運用コスト(販売手数料、信託報酬等)を考慮していませんが、実際には、毎月の積立投資で販売手数料を1%でも支払っていれば、コストによるパフォーマンスの差は一層明確になります。

やってみよう! パフォーマンス比較のやり方


 具体的なファンド比較は、モーニングスター公式サイトで簡単に無料で誰でも比較できます。まず、公式サイトのトップページの最上段にある検索窓を使って、調べたいファンドの名前の一部を入力して特定のファンドを選んでください。ファンド名が不明な場合は、トップページの右肩にある「詳細条件でファンドを検索」のボタンを押して、調べたいファンドのカテゴリーなどから個別のファンドを選んでください。この詳細検索を行う場合は、検索範囲の指定で「DC専用」にチェックを忘れないようにしましょう。

hikaku.jpg

 個別ファンドのページを開いたら、「スナップショット」の画面で、チャート図の下にある「他のファンドや指数と比較」ボタンを押します。比較したいファンドや指数を選択して「比較する」ボタンを押すと、上記のような比較表、また、比較チャートが出てきます。比較チャートは、指数との比較もできますから、日本株ファンドを比較する場合は、「TOPIX」や「日経225」、海外株ファンドを比較する場合は、「MSCIオール・カントリー/円換算」(先進国に新興国を合わせた世界全体の株価の値動きを表すインデックス)や「MSCIコクサイ・除く日本/円換算」(日本を除く先進国の株価の値動きを表すインデックス)などの指数と比較してみると、インデックスに対してファンドのパフォーマンスがどれだけ優れているか・劣っているかが一目で分かります。

hikaku01.jpg

 このようなパフォーマンス比較は、比較対象を様々に変えて試していただきたいと思います。たとえば、TOPIXインデックスファンドを1本選んで、「MSCIコクサイ・除く日本/円換算」、「MSCIエマージングマーケット/円換算」(新興国の株価の値動きを表すインデックス)、「モーニングスターインデックス 国際債券・グローバル・除く日本(F)」、「モーニングスターインデックス 国際REIT・グローバル・除く日本(F)」などと比較してみると、それぞれの指数の値動きのイメージがつかめると思います。このような比較は、この夏に行った結果と、3か月後、1年後に同じような比較をした場合の各指数の値動きのイメージはずいぶん違うことがわかっていただけると思います。

 繰り返し比較することで、「指数の動きは一定ではないので、将来の動きを予測することは難しい」、「指数は上がったり下がったりしている(上がり続けたり、下がり続けるものはない)」などといった市場の変動についての理解が深まると思います。市場の変動についての理解が深まると、資産運用の基本とされる「分散投資」「長期投資」などの意味もわかり、資産運用について自分なりの方針が定まってくると思います。