資産管理コラム

iDeCoを使って初めての資産運用、最初の一歩はどうする? モーニングスター「簡単ファンド検索」で分散投資

2017/08/04 15:40

 iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)が話題となり、自分でもiDeCoを始めてみようと考えた時に、逡巡してしまうのが「自己責任で運用する」ということではないでしょうか。なぜなら、多くの人は「運用する」という経験がないからです。銀行に預金を預けていても、それを運用して増やそうなどとは「考えたことがない」という方がほとんどです。銀行に口座を持っている人が運用商品である投資信託を購入している比率は5%程度といいます。ですから、iDeCoで最初に越えなければならないステップは、これまでやったことがない「運用」を始めることです。そもそも「運用する」とは、どういうことでしょうか?

世界株式に広く分散投資した場合、過去30年間で年率6.3%のリターン

 「運用する」と聞くと、「損をするかもしれない」と身構えてしまうかもしれません。確かに、株式に投資して、会社が債務超過で倒産してしまえば、その株式の価値はゼロになります。最近でも自動車部品メーカーがリコール問題の影響で経営破たんし、上場廃止になりました。一時は4,000円を超えていた株価は、最後はわずか18円でした。原発事故が起こった時には、電力会社の株価が2,000円台から120円に下げた例もあります。このような「何が起きるか分からない」ことに遭遇することも「運用する」ことの一部です。

 一方で、アメリカのフェイスブック(Facebook)は2012年5月に上場した時は38ドルでしたが、現在の株価は165ドルです。5年間で株価は4倍以上に値上がりしました。アマゾン(Amazon)が上場したのは1997年5月で上場時の株価は18ドルでしたが、現在は1,050ドルを超えています。アマゾンは株式分割を実施していますので、それを考慮すると、20年で株価が500倍以上になったことになります。

 運用のプロフェッショナルの間では、運用において「何が起こるか分からない」ことに対処する方法が研究されてきました。その結果、将来の株価などを予測することはできないものの、運用で大きな損失を出さないためには、「分散」が必要であることが分かっています。「分散」とは、「株式、債券、不動産など投資する『資産』を分散すること」、「投資する『地域』を分散すること」、さらに、「投資する『タイミング(時間)』を分散すること」が大事だといわれます。たとえば、私たちの公的年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用成績は、運用のプロフェッショナルによる分散投資の結果、以下のようになっています。


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GPIF_portfolio4.jpg 資産の分散とは、先ほどの自動車部品メーカーや電力会社の株式も、フェイスブックやアマゾンの株式も一緒にして持っているというような投資の仕方です。株式は価格変動が大きく「何が起こるか分からない」ため、できるだけ多くの株式に分散して投資するのです。たとえば、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」は、日本を含む先進国23カ国や新興国23カ国の株式市場の値動きを表す株価指数です。指数採用銘柄は約2,500銘柄になります。この株価指数は、日本円ベースで、過去20年間の年率リターンが5.9%、過去30年間の年率リターンは6.3%でした(2017年6月末現在)。このインデックスに連動する投資信託があります。

毎月2万円の積立投資は、年5%の23年間で1,000万円に

 年率5%で毎月2万円を積み立てた場合、23年で1,000万円に達します。毎月2万円を積み立てた場合、23年間で積み立てられる金額は552万円です。そのまま年率5%運用で、30年間の積立を継続すると、30年目には1,631万円に達します。積立元本の720万円の倍以上の金額になります。「運用する」ことによって一定のリターンが期待でき、単純に積み立てるだけでは届かない1,000万円という金額が見えてくるのです。


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 5年で10倍など大きく儲けようと考えると大きな損を覚悟しなければ望めませんが、20年間で2倍など年率3%~5%という水準のリターンを狙うのであれば、覚悟する損失も大きくはなりません。0%金利の定期預金では運用にはなりませんが、株式や債券に投資することによって、期待リターン5%程度の運用が可能になります。今後も世界の経済は2030年に向けて人口が現在より11.5億人増加(73.5億人→85億人)し、年率3%程度で成長することが期待されています。これまで同様に、株式や債券への投資が有効な資産運用手段として通用する見通しです。

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モーニングスターの「簡単ファンド検索」が分散投資のヒントに

portfolio1.jpg 具体的にどうすれば良いのか分からない場合は、たとえば、モーニングスター公式サイトの「簡単ファンド検索」「さっそくポートフォリオを組んでみる」を試してみましょう。毎月2万円を積み立てて、20年間で1,000万円を作る場合、必要な利回りは6.7%(年率)と出てきます。それを実現するための資産配分の例として、国内株式10%、先進国株式40%、新興国株式20%、先進国債券20%、新興国債券10%のモデルポートフォリオが出てきました。「簡単ファンド検索」では公募投信の中から、国内株式に投資するファンドなど各資産クラスごとにファンドのリストを示されます。信託報酬の低いファンドだけを選んでいくと合計で年率0.22%でポートフォリオを組むことができました。

 iDeCoで運用する場合は、各プランの商品ラインナップを確認の上で、モデルポートフォリオを作れるラインナップが揃っている金融機関のプランを選びます。ラインナップの中にある「バランス型」や「ターゲットイヤー型」は、1本のファンドで様々な資産に分散投資されています。ファンドの中味を確認する、または、過去の運用成績が期待するリターンを実現できているかどうかなどで大まかな運用イメージをつかむように努めましょう。

 はじめから積立資金の全額を投資する必要はありません。iDeCoで毎月2万円を積み立てる場合は、半分の1万円は定期預金、残りの1万円は投信を使ったポートフォリオ運用という考え方もできます。大事なことは、半年、1年後に運用した結果を確認することです。1年間で定期預金は12万円になっていますが、ポートフォリオの残高はどうでしょうか? 12万円に対しプラスマイナスいくらなのか? なぜ、そのような結果になったのか? 投資した個別のファンドごとに、過去の値動きの経緯を振り返って確認することができます。過去1年間のトータルリターンとリスク(標準偏差)などを確認してみましょう。その結果を、どのように感じますか? そして、翌年は、定期預金だけにするのか、あるいは、ポートフォリオ運用の額を2万円にするのか、自由に配分を選ぶことができます。

 iDeCoで便利なのは配分比率を何%と指定できるので、たとえば、毎月5,000円でも、定期預金に50%、国内株式ファンドに5%などとポートフォリオでの運用が可能なことです。そして、このような資産配分比率を自在にできることが、iDeCoを使った資産形成の大きなメリットといえます。まずは、第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。「習うより慣れろ」で、半年、1年の振り返りを繰り返すことによって、次第に「運用する」ということが、理解できると思います。