資産管理コラム

還暦を迎えて5人に1人が独居、老後貧困など不安を早めの積立投資で軽減する

2017/07/31 19:01

 今年60歳を迎える「還暦人(かんれきびと)」(1957年=昭和32年生まれ)は5人に1人が独居(ひとり暮らし)。心配事の上位は「身体能力の低下」と「老後貧困」――年金受給の予備軍である還暦人は、公的年金の受給額以内での生活水準で暮らすことが可能ですが、「身体の不調」や「年金制度の崩壊」など不測の事態への不安を抱えています。PGF生命(プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険)が実施した「2017年の還暦人に関する調査」の結果は、現在の高齢者が抱える問題点を浮き彫りにしました。

「2017年の還暦人に関する調査」(PGF生命)が浮かび上がらせた現実


 調査は、今年還暦(60歳)を迎える男女2,000名(各1,000名)を対象にインターネットリサーチで実施。調査期間は2017年4月28日~5月10日。

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 今年の「還暦人」は、20代後半から30代前半にバブル景気を、その後はバブル崩壊後の不景気を経験してきた世代にあたります。59歳時点で就労している人は1,396名(約70%)で、「何歳まで働きたいか」を聞いたところ、「65~69歳まで」という回答が41.0%と最も多く、次いで「70~74歳」が25.2%でした。「60歳まで」に引退したいという答えは11.9%に過ぎず、ほとんどの人が公的年齢の受給開始である65歳を超えても、可能であれば働き続けたいと考えています。

 また、60歳以降の生活に最低限必要な資金については、配偶者がいない場合の平均は「月額15.7万円」、配偶者がいる場合は「月額22.4万円」でした。この水準は、概ね、現在の厚生年金受給額の水準に等しい金額になっています。「還暦人」は、老後生活が破たんすることのないよう、最低限必要な生活費の水準を「公的年金受給可能額」という現実的な水準に置いて考えていることがうかがえます。


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 一方、「ゆとりのある生活」に必要な金額は、配偶者がいない世帯では平均で「23.9万円」、配偶者がいる世帯では「32.0万円」になっています。最低限の生活費にプラスして10万円弱程度の余裕資金がほしいと感じていることがわかります。なぜ、それほど多くの余裕資金を求めているのでしょう?


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老後の3大不安は「身体能力の低下」「年金制度崩壊」「老後の資金不安」


 今後の生活に感じる不安を聞くと、「身体能力の低下(病気や寝たきりなど)」が62.1%でトップ。次いで、「年金制度の崩壊」が59.5%、「老後貧困・老後破産(老後の資金不安)」が53.6%で続きました。65歳以降も働けるくらいに身体的に問題がなければ、暮らしていくことに不安はないが、加齢による身体能力の低下が大きかった場合に不安を大きく感じてしまうということでしょう。「自分の介護」を不安という答えは50.9%と2人に1人が感じていることにも、その気持ちが表れています。

 さらに、「親の介護」は3人に1人が不安要素に挙げています。介護問題は、還暦人にとって自分自身と親の両方に係る重大な関心事になっているようです。

 この介護に関する不安は、現在の世帯のあり方を考えると、より深刻な問題といえそうです。還暦人のうち、ひとり暮らし(子どもがいないか子どもと別居しており、配偶者がいない層)が19.9%で5人に1人。また、ひとり暮らしの予備軍といえる「夫婦2人世帯」が40.2%を占めています。子どもがいないか、子どもと別居している世帯が全体の60.1%を占め、これらの世帯では、介護に対する不安は、生活を継続する上で大きな不安要素になっていると想像できます。しかも、現在の還暦人が若かった頃より、現在は生涯未婚率が大幅に高まっているので、老後独居の人は、今後激増する可能性があります。誰も望んで介護が必要な状態になりたいとは思わないでしょうが、自分が将来介護が必要になるかどうかということは誰にもわかりません。その漠然とした不安が、「毎月10万円弱の余裕資金が欲しい」という欲求につながっていると考えられます。


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 単純に毎月10万円と考えると、65歳から20年間(85歳まで)で2400万円の貯蓄が必要という計算になります。現在35歳で2400万円を65歳までの30年間で貯えようとすると、毎月6.6万円の貯蓄が必要ということになります。毎月10万円の余裕資金をゼロから用意するというのは、簡単な話ではありません。子どもがいて大学までの教育費(塾代や習い事代などや大学時代の授業料や生活費の補助など)、あるいは、住宅ローンの返済などを考慮すると、並大抵の努力ではたどり着けない金額に思えるでしょう。

社会保障や企業制度なども使ってトータルで考えたい老後準備


 ただ、企業年金制度がある企業に勤めている場合は、勤め先が退職給付として退職金、あるいは、企業年金という形で準備しています。厚労省毎年調査している「就労条件総合調査」では平成25年調査で退職給付について調査を実施し、定年退職まで勤めることを前提にすると、従業員数1,000名を超える大企業では概ね2400万円の退職給付が用意されていました。ただ、転職等によって勤続年数が20年程度になってしまうと、退職給付は大企業でも1,000万円程度、中小企業では500万円~600万円になってしまうため、安心できる老後を迎えるためには、自助努力による貯蓄が必要ということになります。

 一方、退職給付制度がない企業、あるいは、非正規雇用で退職給付の対象になっていない場合は、自助努力で準備する必要があります。勤務先や働き方にかかわらず、誰もに訪れる老後です。できるだけ不安の芽を大きくしないために、若いうちから自助努力の積立を開始しましょう。今現在、退職給付制度が整った大企業に勤めているといっても、今後の人生で何が起きるかは分からないものです。大企業といえども、経営悪化によって退職給付の削減を従業員に求めることもありました。無理のない範囲で、少しずつでも老後の貯蓄を進めたいところです。今年から、加入対象者が大幅に拡大したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)、また、来年1月にスタートする「つみたてNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)」など、税制優遇で長期の積立が可能な制度があります。

老後準備で積極的に活用したいiDeCo、つみたてNISA


 iDeCoもNISAを使って、運用しながら長期で積み立てる方法をとると、月々の貯蓄金額も水準が変わってきます。たとえば、2400万円を準備するために、30年間にわたって毎月6.6万円を積み立てると考えると毎月の負担は大きくなりますが、年利3%で積み立てれば4.2万円の1年複利の運用で2400万円を超えます(運用益非課税)。年利4%であれば、3.5万円を30年間で2400万円に達します。また、毎月1万円を30年間積み立て、年利5%で運用すれば800万円以上になります。

 たとえば、新興国を含む世界の株価指数に分散投資する「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」の過去30年間(2017年6月末まで)の年率平均リターンは日本円ベースで6.3%でした。マイナス金利時代で、リスクを取らずに年3~5%の利回りを得ることは不可能ですが、一定水準のリスクを取って、長期に投資することによって長期で優れたパフォーマンスを残してきた運用商品があることも事実です。長期・分散・積立投資によって老後の不安を早めに対処していきましょう。