資産管理コラム

公務員を憂鬱にする退職手当の引下げ勧告、iDeCoと積立NISAで安心を確保

2017/06/28 09:16

 公務員の退職金は、今後一段と減額される方向にあります。今年4月に人事院が、国家公務員と民間の退職金を比較し、公務員の平均支給額は2,537.7万円で、民間の2,459.6万円を78.1万円(3.08%)上回っていることを示し、民間との差を解消するよう求めています。公務員の退職金は、2013年1月~14年7月までに約15%(約400万円)が減額され、民間との格差是正が図られたところですが、依然として、民間よりも高いのであれば、引き続き減額圧力がかかるでしょう。今年1月からiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の加入対象者に公務員が加わったのは、公務員の退職手当に引下げ圧力が強いことも考慮されてのことでしょう。


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(モーニングスター作成)

 公務員の人数は全国に約332.3万人(2017年度予算定員)。うち国家公務員が約58.4万人、地方公務員は273.9万人です。国家公務員の内訳は、一般職が約28.5万人、特別職(大臣や裁判官、また、防衛省職員や国会職員など)が約29.9万人です。地方公務員では、市役所等で窓口業務などを行っている一般行政が約91万人、教育部門が約102万人、警察部門が約28.7万人、消防部門が約16万人などとなっています。公務員と一口にいっても、その職種や職務内容は様々。働き方や給与水準などを一律で考えることはできません。


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(モーニングスター作成)

 公務員になるには、大変狭き門を突破しなければなりません。たとえば、全国で100万人以上が働いている教育部門の競争率(倍率)は、2016年度選考で、小学校3.6倍、中学校7.1倍、高等学校7.0倍となっていて全体で5.2倍という状況です。ピークの2000年度は13.3倍という狭き門でした。そして、初任給は、大卒程度の試験が課される東京都庁行政職Ⅰ類Bで、初任給が約22万円(2016年)。また、地方公務員の平均給与は、一般行政職で月給が40.7万円(平均年齢42.3歳)。経団連が発表している製造業の平均(2016年6月度)42.8万円(40.0歳)と比較すると、若干低い数字ですが、総支給額に占める残業代(製造業平均で5.7万円)をどう考えるかで、印象も変わってくるでしょう。


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(モーニングスター作成)

変化する公務員の処遇

 一昔前は、「1日約8時間勤務で残業も少なく、週休2日制、さらに、退職時の手当ても大きい」とイメージされていた公務員ですが、その実態は大きく変わってきているようです。特に、退職手当の部分は、変化が大きくなっています。その象徴が、2015年10月に「共済年金」が、厚生年金に統合されたことでしょう。統合によって低い水準だった共済年金の保険料率の引き上げが行われています。また、共済年金の時にあった3階建て部分の「職域加算」が廃止され、「年払い退職給付」が導入されましたが、この「年払い退職給付」の水準は「職域加算」と比較して10%程度割安(月額2万円程度→月額1.8万円程度)といわれています。

 さらに、依然として公務員の退職金の水準が高過ぎるとして、退職金の給付水準を引き下げようとする圧力があります。これは、民間の退職給付水準が、今後大きく増額されない限り、継続的な低下圧力となる見込みです。民間では企業年金分野でDB(確定給付企業年金)からDC(確定拠出年金)への移行が進んでいます。企業側が年金支給額を約束していたDBに対し、DCは拠出金額の運用を従業員に移転する制度です。DBでは一定の利回り水準に達しなかった場合には、企業側が不足分を補てんする仕組みですが、DCは運用を従業員に任せますので、企業が想定している運用利回り相当分は、企業負担が軽減されます。DCで従業員が利回りゼロ%台の定期預金で全額運用した場合、企業側が予定していた利回り部分がマイナス分に働きます。

ダブルの痛手=公的年金不安と退職手当の引下げ勧告

 民間の会社員や専業主婦までもiDeCoを使って老後準備をしようと考える動機のひとつである「公的年金への不安」は、公務員も同じです。現役の公務員にとって「民間の水準と比較して公務員の方が優位にあるから」という大義名分があるとはいえ、退職手当が削減されるのはたまったものではないでしょう。公的年金に加えて、職場が用意する退職手当も減額されるとなるとダブルの痛手です。

 公務員は、民間にあるようなリストラ(希望退職を募るなど)はほとんどありません。それだけ、生活設計は立てやすいといえますが、今後の民間企業の給与や処遇の変化に応じて、その処遇は揺れることが想定されます。将来の退職手当が不安定であれば、確かな安心を得るために自ら備える必要があります。今年1月に公務員も加入対象になったiDeCoはまさに退職手当の補てんとして取り組める制度ですし、来年1月から始まる積立NISA(少額投資非課税制度)も運用益非課税の期間が20年間という長期にわたる積立手段です。できるところから少しずつ、将来に向けた積み立てを始めましょう。

【iDeCoのQ&A】
Q iDeCoのメリットを教えてください。
Q iDeCoは節税がメリットと言われていますが、どのように税金が安くなるのですか?
Q 確定給付年金(DB)との違いは何ですか?