資産管理コラム

「積立NISA」はiDeCoの恋人? 抜群の相性だからセットで考えたい

2017/06/22 13:51

 10月から「積立NISA(つみたてニーサ)」の口座開設の受け付けが始まります。実際の積立開始は2018年1月からになりますが、準備の都合も考えて早めに口座だけでも開いておこうと考える人もいるでしょう。NISA(少額投資非課税制度)とiDeCo(個人型確定拠出年金)は、一緒に使うことでiDeCoのデメリットを打ち消してくれる効果があります。とくに「積立NISA」は、iDeCoと同様に「積立」であること、そして、非課税期間が20年間と長期であることから抜群の相性です。

60歳になるまで崩せないiDeCoといつでも引き出せるNISA

 iDeCoの最大のデメリットは、60歳まで掛金を引き出すことができないことです。iDeCoを財形貯蓄のように税制優遇のついた積立制度と考えて加入を検討した人は、「60歳まで一切引き出せない」と聞いて愕然とするでしょう。人生何が起こるか知れたものではありません。元気で仕事が続けられれば問題ないのですが、もし、何かのきっかけで無気力になって働くことが嫌になったら、現実的に頼れるのは貯蓄(お金)です。財形貯蓄の場合は、引き出して当面の生活費にあてることもできますが、iDeCoの場合は一切引き出せません。老後の心配よりも、今の生活が大事という主張は、iDeCoには通用しないのです。

 一方、NISAの場合は、いつでも解約可能です。NISAと積立NISAの併用はできませんが、積立NISAとiDeCoの併用はできます。iDeCoで老後資金の準備をしながら、並行して積立NISAで、手元資金を蓄えることも考えましょう。iDeCoは毎月5,000円から1,000円単位で積立が可能ですので、たとえば1万円の積立開始を考えた場合、5,000円ずつをiDeCoと積立NISAで分けるということもできます。


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出所:モーニングスター作成



 iDeCoには掛金の所得控除が使えるという最強の武器があります。年収250万円で独身でも、所得税+地方税で掛金の15%は戻ってきます。毎月の掛金が5,000円だとして、年間で6万円の貯蓄ができて、9,000円が戻ってきます。定期預金の利息と考えれば、年利15%の利息が付くようなものです。できるだけ早くから、このメリットを受けないともったいないと思います。資産運用の経験がなく、分からないことは避けたいのであれば、とりあえず定期預金で始めて、資産運用については次のステップで考えても良いのではないでしょうか。

 一方、積立NISAは、積立金が所得控除の対象にはならないものの、いつでも引き出せる気安さがあります。運用益にかかる約20%の税金は非課税です。注意が必要なのは、積立ができる対象商品が投信のみだということです。投信は元本割れもあり得る投資商品です。実際のところ、NISAは運用益にかかる約20%の税が非課税になるので、ゼロ%金利の預金では非課税メリットがないといえます。NISAのメリットを受けるには投信などを使わないと意味がありません。

 ただ、「元本割れ」と聞くと途端に逃げ出したくなる人は少なくありません。「損をするかもしれないものに手を出したくない」という感覚は当たり前のものです。それだけに、NISAを始めるのにはハードルを感じる人もいるでしょう。むしろ、iDeCoで定期預金を積み立てる方が始めやすいかもしれません。しかし、そのiDeCoは60歳まで引き出せません。あっちを立てれば、こっちが立たずですね。

 ですから、合わせて始めることに意義があります。たとえば、1万円の半分で投信を買って、その投信の値段が10%下落したとしても、残りの半分が定期預金であれば、資産の目減りは全体の5%に抑えられています。定期預金を持っていることが、価格下落のクッションになります。

ドルコスト平均法の効果を知れば「(一時的な)元本割れ」も怖くない

 今月の1万円が、来月は9,000円になってしまうと誰だって嫌です。ただ、積立では、ちょっと話が違ってきます。たとえば、今月1万円で1個買えたものが、来月5000円になっていたら、同じ1万円を出して2個買うことができます。安くなるほど、同じ金額で多くの量を買うことができます。安い価格で多くの量を持っていれば、市場価格が少し上昇すれば、利益が出るようになります。この効果を「ドルコスト平均法」と呼んでいます。

 実際に投信など「価格変動商品」といわれる商品の価格は、下がっては上がり、上がっては下がることを繰り返すものです。この価格変動に沿って毎月一定の金額を投資していけば、価格が下がった時に多くの量を買い、価格が上がった時には少しの量を買うことを繰り返すことになります。

 ドルコスト平均法を使った実際例をみてみましょう。たとえば、2000年1月のITバブルのピーク(日経平均株価が20,000円近辺)から、コツコツと1万円ずつ投資していると、2013年2月(日経平均が11,500円台回復)には投資累計金額よりも資産の評価価値がプラスに転じています。この間、2003年3月には日経平均が8,000円を割れ、さらに、リーマンショックで2009年2月には7,500円近辺まで再度下落するというどん底を経験しています。評価利益が出る2013年2月には、投資開始時の20,000円まで価格が戻っていません。リーマンショックで投資金額が大きく元本割れしたどん底から、4年後に黒字に転換しています。コツコツ買い続けていれば、価格が少し上昇するだけで投資収益が生まれるのです。

 この効果がしっかり理解できたら、iDeCoも定期預金ではなく、投信などの価格変動商品で積み立てていくことを考えましょう。iDeCoの運用益も非課税です。そもそも60歳になるまでは引き出すことができない長期の投資が前提です。価格の変動率が大きい方が、ドルコスト平均法の平均取得価格の引き下げ効果も強く表れます。投資期間が10年以上確保できる40歳代であれば、価格変動商品のみで運用して、しっかり資産を増やすことを考えたいところです。


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出所:モーニングスター作成