資産管理コラム

iDeCoとNISAどっちを選ぶ? 途中でやめるならiDeCoは最初からやらない

2017/04/14 09:26

 iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)は老後資産形成の最強手段であることは間違いないのですが、iDeCoについて最初に考えることは、どの金融機関を選ぶか、また、どうやって運用するかという「選択」より、「その掛金は、60歳になるまで使わずに済ませることができますか?」という「現状把握」です。しっかり家計の現状を把握して、「今できることは(やるべきことは)iDeCoなのか?」を見極めましょう。

掛金ストップはiDeCoのメリットをデメリットに逆転する

 そもそも毎月5,000円から始められるiDeCoだから、それほど構えて考える必要はない、気軽にスタートすればよいといわれます。しかし、途中で掛金をかけられなくなった時のデメリットは大きいのです。中途半端な積立金を残して、掛金の拠出をストップし、「運用指図者」になってしまうと、口座管理手数料が着実に資産からマイナスになってしまいます。

 たとえば、iDeCoを開始して1年もたたずに掛金の拠出をストップしてしまえば、一般に毎年5,000円程度~6,000円程度の手数料が課されるので10年も放っておいたら、残高がゼロになったということになりかねません。掛金をストップすると、iDeCoの大きなメリットである「掛金の全額所得控除」がなくなってしまいます。そして、掛金の所得控除によってカバーされていた「口座管理手数料負担」のデメリットが浮上してしまうのです。

 この口座管理手数料は、金融機関が「無料(0円)」をうたっていても、国民年金基金連合会向け等に年間2,004円(税込)は必ず必要になります。「口座管理手数料がかかっても、掛金の全額所得控除で口座管理手数料以上が戻ってくる」というのが、iDeCoを始める強烈な動機にもなっています。掛金の拠出をストップするということは、この強烈なメリットを失うことになるのです。

 「掛金ストップのリスク」を判断する方法のひとつは、このサイトにもある「ライフプランシミュレーション」のツールです。簡易版ですが、子育てにかかる費用や住宅取得に関する費用など、今後必要になるであろう大きな出費について、おおよその目安にはなります。その際に、貯蓄金額が大きなマイナスになるようなことがあれば、掛金の拠出をストップしてしまうことになりかねません。

 もちろん、「将来のために、お金を貯めよう!」と決意した気持ちは大事です。その気持ちを生かすため、積立貯蓄、または、積立投資をさっそくはじめましょう。積立投資で投信等を積み立てていくのであれば、NISAを使って投資収益非課税の恩典にあずかりましょう。NISAの場合は、いつでも解約自由です。NISAを使ってある程度の貯蓄が積み上がったら、改めてiDeCoを検討すると良いでしょう。「ライフプランシミュレーション」で、積み上がった貯蓄額を入力してみると、貯蓄金額が大きくマイナスに落ち込む心配もなくなっているのではないでしょうか。


ライフプランシミュレーションで家計収支の見通しを確認しよう


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出所:モーニングスター作成

iDeCoは「60歳まで」続けてこそ最強の資産形成手段に

 iDeCoとNISAは、それぞれの制度の特徴を踏まえて使い分けを考えましょう。「とりあえず貯蓄を始める」のであれば、まずはNISAの利用を検討しましょう。NISAであれば、いつでも換金できますので、急な入用でまとまった資金が必要になった時に取り崩すこともできます。

 ただ、NISAは対象商品が投資信託と株式ですから、「元本割れは絶対嫌」ということであれば、銀行等で自動積立定期預金を始めましょう。毎月一定金額が銀行の総合口座から定期預金口座に振り替えられ、着実に貯蓄が進みます。元本割れを回避して、より確実にお金が残る方法としては、会社が用意している「財形貯蓄」があります(会社によっては制度がないところもあります)。財形貯蓄は給与天引きですので、半ば強制的にお金が貯まります。

 そして、貯蓄の目的が「住宅購入の頭金」など明確であれば、「財形住宅貯蓄」という制度も選択肢になります。財形貯蓄は、勤め先の企業に制度が備わっている必要がありますが、制度があれば、給与天引きで貯められるので、着実にお金が貯まります。「財形住宅貯蓄」の場合、5年以上の継続で元利合計550万円までは利子等に非課税です。

 一方、NISAを使って、積立投資を始めるのであれば、「分散投資」と「長期投資」の効果を利用しましょう。分散投資とは、投資先を「国内株式」「国内債券」「海外株式」「海外債券」など国内外の資産に分散することです。過去20年間を振り返ると、「国内株式」(TOPIX:東証株価指数)だけに投資していると、1年間のプラスマイナスを数えると11勝9敗(11回プラスで9回マイナス)でした。これを、国内外の株式・債券の4資産に25%ずつ分散投資したとすると15勝5敗と勝率がグッと高まります。

 また、長期に保有することによって投資資産が元本を割り込むリスクを軽減することができます。国内株式20%、先進国株式30%、新興国株式10%、先進国債券30%、新興国債券10%という分散したポートフォリオの保有期間別のパフォーマンスを調べると(1993年12月起点)、下記のとおり、10年保有すれば月次リターンがマイナスになることはありませんでした。


分散投資の長期保有効果


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出所:モーニングスター作成

 iDeCoは、60歳までは強制的に持ち続けることになります。投資商品を複数の商品に分散投資するか、あらかじめ分散投資されたバランスファンドを選ぶことによって、元本割れのリスクを抑えた分散・長期投資が可能になります。さらに、iDeCoは積立投資を継続しますから、価格が下落した場合は、より多くの量を購入するため、その後の価格の戻りでプラス転換しやすいという「ドルコスト平均法」のメリットも得られます。資産形成に関する税制優遇措置も踏まえて、最強の資産形成手段といわれるiDeCoのメリットは、60歳まで継続してこそ発揮されます。