資産管理コラム

iDeCoでほったらかし運用?! 「ターゲットイヤーファンド」の実力とは

2017/04/06 17:33

 近年「ターゲットイヤーファンド」(「ターゲットデートファンド」)を耳にする人も増えたはずだ。ここではターゲットイヤーファンドの拡大の背景、活用方法と注意点を解説していきたい。

ターゲットイヤーファンドってどんなファンド?

 そもそも、「ターゲットイヤーファンド」とは、バランスファンドの一種で、退職する年など、複数のターゲットの年が異なる商品から自分に適した年限を選ぶ。最初は積極的な運用を行い、退職時に向けて積極運用の割合を引き下げていき、ターゲットイヤーに達したら、完全な安定運用に切り替わる投資信託のことである。したがって退職時まで継続運用をするiDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型確定拠出年金に適した商品と言われるが、もちろん公募投信でも各金融機関で取り扱いを行っており、購入することができる。いったん商品を決めてしまえばその後の運用は、年限によって自動的に配分が変更されるため自分で資産配分を調整するといった手間を省くことが可能となる、「ほったらかし運用」で忙しい会社員や投資初心者にも適した商品だ。定年が近づく50歳以降は安定資産を増やすため、リーマンショックのような暴落が起きても今まで運用した資産を守れる一方、アベノミクスのような上昇局面には取り残されてしまうことは念頭に置きたい。


図表1:ターゲットイヤーファンドの例


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出所:モーニングスター作成


ターゲットイヤーファンド、米国の確定拠出年金市場では主力商品?

 ターゲットイヤーファンドはiDeCoではSBI証券、楽天証券、りそな銀行などで採用されている。日本では近年増えてきたターゲットイヤーファンドだが、海外での歴史は古く、米国では確定拠出年金である「401K」やiDecoが手本とした英国「ISA」の拡大に合わせて残高、知名度ともに成長してきた。


図表2:米国の確定拠出年金市場でのターゲットイヤーファンドの残高推移


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出所:ICI Research 各年年末の値を表示(2016年は6月末現在)、残高は個人型(IRA)、企業型(401K)の合算数値
出所:モーニングスター作成


 米国でのターゲットイヤーファンド市場の成長の一因として、デフォルトファンドの設定がある。デフォルトファンドとは、確定拠出年金口座で運用商品を指定しない場合に自動的に設定されるファンドの事で、日本では主に定期預金となっている。一方米国では若いうちから資産形成できるようデフォルトファンドはターゲットイヤーファンドやバランスファンドが指定されていることが多い。下記図表を見ると比較的資産運用にまだ興味を抱かない20代、30代のターゲットイヤーファンド保有比率が25%超と高いのはこのことが理由であろう。日本でも貯蓄から資産形成の流れの中で、2018年6月にデフォルトファンドの基準が省令で示される。改正後はすぐさま米国の様にはならないまでも、バランスファンドやターゲットイヤーファンドなど定期預金以外の商品が指定される場合もあり、投資信託保有比率の大幅な拡大が予想される。

図表3:米国の確定拠出年金での年齢別資産構成比


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出所:EBRI Issue BRIEF 2016に基づきモーニングスター作成


ターゲットイヤーファンドの運用状況とコストを探る

 下記図はモーニングスターインデックスで分類されたターゲットイヤーファンドのリターンである。リスク資産を徐々に減らすためバランスファンドに似たパフォーマンスとなる。一方信託報酬を見るとターゲットイヤーファンドの方が低くなっている。ターゲットイヤーファンドはコストが高いからお勧めしないという意見もあるが、近年は低コスト商品も多く出ており全体のコスト押し下げとなった。また、ターゲットイヤーファンドを選ぶ際のポイントとして、同じ年限でも各社の商品によってポートフォリオの中身はそれぞれ異なっている。自分に適した資産配分になるか、必ず複数のファンドを比較することが重要だ。ターゲットイヤーファンドを購入しようと考えてる方は、購入後に思い描いた資産配分ではなかったと後悔することがないよう、しっかりと下調べをしてほしい。


図表4-1:ターゲットイヤーファンドのパフォーマンス


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図表4-2:ターゲットイヤーファンドの信託報酬


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※2017年3月現在
※ターゲットイヤー~2020、ターゲットイヤー2021~2030、ターゲットイヤー2031~安定型、安定成長型、成長型のリターン、モーニングスターインデックス(単純)に基づく
※信託報酬は、信託報酬等(税込)、DC、SMA、ETF含む
出所:モーニングスター作成


 最後に、気を付けたいのがターゲットイヤーファンドは定年退職時をターゲットの年とした場合、定年に向けて徐々にリスク資産を減らしていくことだ。これはターゲットイヤーファンドの特性であり、メリットでもありデメリットもあるのだが、高齢化の中では60歳が運用の終わりではない。長生きのリスクを考えたとき、60歳でも年金を受け取りながらも運用を継続する必要がある。したがって、ほったらかし運用と言われているターゲットイヤーファンドではあるが、ターゲットの年が近づいたら運用を見直すことをお勧めする。また、ターゲットの年に到達以降は主に定期預金で運用される。にも関わらず信託報酬は毎月かかってしまう。なので、年金として受け取る資金は定期預金等に移し、運用を継続する資金は別の運用商品に振り替えるなど自分自身でしっかり運用方針を立て直すことが重要となる。近年では「三井住友・DCターゲットイヤーファンド」シリーズなど、ターゲットの年を到達した後でも定期預金を100%とせず、自動的に運用が継続できるよう、ポートフォリオの一部は運用を継続する、「Through retirement」と呼ばれるコンセプトのファンドも出てきているため、自分の投資意識やライフスタイルに照らし合わせて定年後まで見据えてファンド選びをしたい。