資産管理コラム

定年退職後、確定拠出年金の資産を受け取りしないで運用する場合の注意点は?

2016/10/21 15:45

 こんにちは、確定拠出年金相談ねっとを主宰しておりますファイナンシャルプランナーの山中伸枝です。

 確定拠出年金は60歳になると積立が終了します。任意に加入する「個人型」であっても、会社で加入している「企業型」確定拠出年金であっても、60歳で積立は終了です。(一部企業型では65歳まで積立が可能な場合もあります)

 確定拠出年金は60歳までに加入期間が10年以上あれば、60歳になると老齢給付金の「受け取りの権利」が発生します。これは会社の退職とは全く関係なく、年齢と加入期間で決まります。

 お金の受け取りは60歳でもいいですが、急いでおろすこともありません。ご自身のライフスタイルに合わせ、70歳までの10年間でいつでも好きな時に受け取りを開始することができます。今回は60歳時点ですぐにお金を受け取らず、「運用指図者」としてしばらく運用を続けるケースについて解説します。
※60歳時点での受け取りについては以前のコラムを参照してください。

 「企業型」で60歳を迎えた場合は、これまで同様会社の企業型で運用指図者となります。その際、毎月発生する手数料を会社が負担するのか本人が負担するのかルールが決められていますから、会社に確認しましょう。もともと「個人型」だった方はそのまま個人型で運用指図者になりますが、この場合も毎月の手数料が変更になりますから運営管理機関に確認します。

 積立終了後もお金を受け取らず運用を継続したいという理由には主に二つあります。

 一つは運用がうまくいっていて、もう少し利益をとりたい場合です。確かにせっかく運用がうまくいっているのですから、もうちょっと粘りたいというのも心情です。特に確定拠出年金は運用益に対し税金がかかりませんから、メリットが大きいです。

 ただその場合も注意が必要です。運用は必ずしも上り調子ばかりではないということです。いつどんなタイミングで株価が下落するかなど、だれも予測することができません。そのため60歳以降70歳まで運用期間があるからといって、株式中心の強気の運用を続けていくのは考えものです。いざお金の受け取りタイミングで市場が低迷してしまってそれまでの利益が吹っ飛んでしまったなど悲劇ですから、やはり少しずつ投資配分を債券など安全資産に移すことも考えたいものです。

 反対に運用がうまくいっていない時も、運用指図者で継続したいという理由になります。受け取りを決めてしまうとその時点での含み損が実損になってしまいますから、もう少し様子を見ながらチャンスを狙いたいという気持ちも分かります。ただその際、持っている運用商品を損失確定したくないからというだけで保有するのではなく、冷静になって保有すべきか他の商品で運用を継続するかしっかり考えましょう。たとえ市場が回復したとしても、すべての運用商品の基準価額があがるわけではありません。

 60歳以降で確定拠出年金の給付金を一時金として受け取ろうと計画している方は、その他の企業年金あるいは退職金との兼ね合いに注意が必要です。なぜならば、退職金などの受け取りと同じ年に確定拠出年金の老齢給付金を一時金として受け取ると合算され、場合によっては退職所得控除の枠をはみ出してしまうこともあるからです。思わぬところで税負担が増えてしまうことにならないよう計画が必要です。

 特に60歳以降の運用指図者の期間は(一部の企業型で積立を続けている場合であっても)退職所得控除にはカウントされませんので注意が必要です。

 また受け取る年をずらす場合、5年は間をおかないと退職所得控除の重複分がカットされてしまいます。例えば退職金を60歳で、確定拠出年金の老齢給付金を63歳で一時金として受け取るといったケースです。勤続年数20年で、確定拠出年金加入期間10年であれば、先に受け取る退職金は退職所得控除として20年の勤続年数が活かされますが、確定拠出年金の10年がその20年と重複していると確定拠出年金の老齢給付金を受け取る際、退職所得控除がなくなってしまうのです。

 ちょっと難しいかと思いますが、確定拠出年金は受け取る時期を選べるだけに、税金には注意が必要で、実際には税理士に相談して、なるべく課税されないように工夫しなくてはいけないとだけ覚えておいてください。