資産管理コラム

iDeCoで何をどうすれば良いのか分からない時の考え方、iDeCoを始める前に

2017/02/23 15:50

 今年から60歳未満のすべての国民が加入できるようになったiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)。iDeCoの掛金は全額所得控除の対象になり、利息等にかかる税金も非課税など、とても有利な制度なので、FP(ファイナンシャルプランナー)に言わせると「使わないと損」な制度とされている。ただ、いざやってみようとすると、掛金は5,000円以上1,000円単位で自分で決めなければならないし、積み立てるための商品もいくつかあって、どれを選べばよいのか分からない。そんな悩みを感じる人は少なくないはず。これまで「投資信託」や「NISA(少額投資非課税制度)」とは無縁で生活していた場合はなおさらだ。そんな場合の考え方を整理してみよう。


老後の生活資金、不足額は毎月5万4,711円

 iDeCoは老後の生活資金を蓄える手段。掛金は60歳になるまで引き出すことができないので、子供の教育資金や住宅ローンの頭金など60歳になるまでに必要になる資金をiDeCoで貯めることはできない。iDeCoは60歳まで引き出せないということが、最初に確認しておく重要なことだ。

 そこで、老後の生活資金のために、いくら貯めることが必要なのかを考える。これは、総務省が出している「家計調査」の結果をみれば明らか。2016年平均で、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の1カ月当たりの実収入は平均で21万2835円。支出の平均は26万7,546円。毎月5万4,711円不足している。この不足分は、貯蓄を切り崩して補てんしている。



 さて、夫が85歳までの20年間を考えると、毎月5万4,711円を取り崩していくと約1,313万円(5.47万円×12カ月×20年)が必要になる。25年間だと約1,641万円だ。もっとも、大企業に勤めている場合、退職金が大卒で1,900万円超、公務員は2,000万円超などというデータもある。それだけの金額がマルマル老後に使えれば、老後のための資産形成は不要ということになる。ただ、退職・転職をすれば、企業が用意する退職金は減額。また、大企業といえども現在の水準で退職金を支払ってくれるとは限らない。民間がそうであれば公務員の年金も安泰とは言えない。

 加えて、退職後の生活費の基礎として当てにされている公的年金(厚生年金など)が減額される方向にあり、生活費についても消費増税やインフレで、今以上に必要となる時代になっているかもしれない。そのように考えると、いくらあっても安心できないということになりかねないが、自分で用意する年金として60歳までに1,500万円をiDeCoで貯めると仮定して考えてみる。


「金融電卓」で1,500万円を貯めるための掛金と利回りを計算する

 このサイトの下段にある「金融電卓」を使うと、1,500万円を貯めるための毎月の積立額と必要な利回りが簡単に計算できる。「金融電卓」の「運用-利回り」のタブで、現在の預貯金残高を「ゼロ」として毎月「1万円」を、「30年間」運用して「1,500万円」を作るには、必要な運用利回りが「8%」と出てきた。

 あなたが30歳で、これからすぐにiDeCoを始めると、60歳まで30年間がある。もし、あなたが40歳で、運用可能期間が20年間の場合は、運用利回りは「15%」と出るので、現実的には難しい数値になる。その場合は、毎月の積立額を「2万円」や「2.5万円」などと入れてみて、運用利回りの変化を確認してほしい。

 ここで運用利回りの考え方だが、iDeCoは20年~30年間という長期の運用を考える制度。しかも、将来は年金として使う予定のお金なので、できるだけ元本を減らしたくない資金といえる。短期の値上がり益を狙った投資であれば、アベノミクスが始まった当初の日本株の上昇などで年10%を大きく超える運用利回りを得ることは可能。ただ、年10%超えるリターンが期待できる資産は、年10%のマイナスになる可能性もあるということだ。将来は必ず使うことを当てにしている資金は、大きく下落することは避けたい。できるだけ資産分散をはかって、安定的に運用したい。

 実際に、企業型確定拠出年金で、制度設計上最低必要と考えられている利回りは平均で年2%程度、公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用している基本ポートフォリオの運用利回りは名目3.2%で設定されている。

ポートフォリオ構築ツールで現実的な運用プランをつくる

 そこで、「金融電卓」のコーナーの右肩にある「あなたに最適なファンドを選んでみましょう」というタブをクリックし、ポートフォリオ構築ツールを使ってみてほしい。このツールでは、年8%以上の運用利回りの設定はできなくなっている。先ほどと同じように、毎月の掛け金と運用期間を入力していくと、必要な運用利回りを実現するためのポートフォリオが示される。ポートフォリオは、「国内株式」「先進国株式」「新興国株式」「先進国債券」「新興国債券」の5資産で構成されている。ここで出てくるポートフォリオが、iDeCoで実行する運用ポートフォリオということになる。

 このツールを使って出てくる結果を利用しようとすると、iDeCoの限度額を超える掛金でないと、望ましい運用利回りが設定できないケースがある。その場合は、iDeCoは限度額いっぱいで投資をし、それ以外の積立金は、NISAを組み合わせて利用することによって、1,500万円を積み立てる現実的な取り組みとしたい。

積立期間については、現在の年齢から60歳までではなく、65歳までとして計算しても良い。公的年金の支給開始が65歳からであり、多くの人にとって「年金暮らし」は65歳以降のことだろうからだ。60歳以降の収入の見通しも踏まえて無理のない計画にしたい。

 また、目標額の1,500万円について、さきほどの「金融電卓」を用いて、「取り崩し-受取金額」のタブを試してほしい。1,500万円を30年間で取り崩した場合、3%の想定利回りで運用できれば、毎月6.3万円を取り崩せるということがわかる。貯めた資金を取り崩す時にも、運用しながら取り崩すことを考えると、貯えた資金を長く使えることも確認できる。

 まずは、こうして作った分散ポートフォリオを使って、iDeCoを開始することが大事だ。毎月1万円の掛金でも、5年間も続けると60万円以上になる。5年後には、最初にまとめて投資できる金額として、その時の残高を入力し、改めて、そこから60歳までに1,500万円を作るための計画を立てればよい。計画は柔軟に見直せるので、最初からガチガチに考えないで、だいたいでスタートすることが良いだろう。